2010年9月26日7時48分
厚生労働省の課長補佐が、コンタクトレンズ(CL)販売会社の役員らから、多額の現金を受け取ったとして収賄容疑で逮捕された。捜査関係者によると、課長補佐は受け取った現金を競馬や遊興費に使ったとみられる。携帯電話やタクシー料金も同社に肩代わりさせていた疑いもあるという。
厚労省などによると、同省国際年金課課長補佐の住友克敏容疑者(50)はノンキャリアで、1979年に当時の厚生省に入省。2005〜08年、医療課で診療報酬の不正請求などをチェックする特別医療指導監査官を務めていた。住友課長補佐は、「シンワメディカル」=大阪市中央区=経営のCL販売店に併設され、同社が実質経営している眼科診療所に対する全国監査の時期や、監査の対象となるポイントを役員らに助言したほか、診療所が行政の監査や指導を受けた場合、有利に取り計らうことも約束していた疑いが持たれている。
捜査関係者などによると、現金は役員名義の個人口座から、住友課長補佐名義の個人口座に振り込まれていた。受け取った金額は2500万円以上という。同課長補佐は2年間で少なくとも約700万円を競馬につぎ込んでいたという。また、課長補佐は同社名義の携帯電話を使っていたほか、同社役員名が記入されたタクシーチケットを持ち、2年間で計約160万円分を使った疑いもあるという。
課長補佐の元同僚の男性は「以前から監査をやっていて、知識も豊富で優秀な人」と話す。別の元同僚は、課長補佐はCL販売店の裏事情に詳しかったと振り返る。「仕事熱心な人で、イケイケでガンガンやるタイプ。大きな監査のときには自分から『行きたい』と手を挙げ、悪いところには自分からバツを付けに行きたがる人だった。常日頃、悪い者は許せないと言っていたのだが……」と話す。課長補佐の後輩の一人は「質問してもスパッとすぐ答えてくれ、仕事の方向性を示してくれる人だった」と話した。