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きょうのコラム「時鐘」 2010年9月26日
名建築を集めたテーマパークは各地にある。愛知県の「明治村」。東京都の「たてもの園」。川崎市の「日本民家園」。横浜市の「三溪園」
金沢の湯涌に新江戸村が誕生して藩政期の建造物が数十年ぶりにお目見えした。規模ではまだ小さいが、大切なポイントがある。砺波平野や五箇山の木造建築と合わせて見ることである。湯涌はそれが可能な場所にある 旧井波町を中心にした「木の文化」が旧加賀藩領域に広がっている。現存する合掌造りや、あずまだちと呼ばれる大型農家と、今回移築された旧江戸村や近くの創作の森の豪農建築群は車で回ればそれほど時間は取らない、全国でも貴重な同一建築文化ゾーンである 建物は、在った場所に保存するのが理想だが、次善の策として移築保存するのもいい。川崎の民家園には五箇山の合掌造りが、東京のたてもの園には七尾出身の銭湯経営者が建てた銭湯が保存され、明治村には旧四高校舎などが移築されている 地元に残したい建物が各地に散っているのである。湯涌の新施設を単なる建築パークとせず、発展し続ける北陸の建築文化博物館に育てたい。 |