女性信者への傷害容疑で「ロマゾフィー協会」を主宰する自称霊能者平岩浩二容疑者（４９）夫妻が逮捕された事件で、浩二容疑者が警視庁の調べに「わたしもやりました」と容疑を認める供述を始めた。同時に他の信者への暴行や現金強奪などの余罪も次々に明らかになっている。そんな中、本紙は女性信者が協会のイベントＤＶＤを売り歩いていた現場をキャッチ。信者にとって恐ろしい“苦行”の実態もわかった。

　浩二容疑者と妻の司容疑者（３６）は４月に東京都大田区の自宅で女性信者の尻などを木の棒で叩いたとして逮捕されたが、捜査関係者や被害者の会によれば、２人は他の信者数人にも暴行したり、因縁をつけて数千万円を脅し取るなどの蛮行に及んでいた疑いがあるという。
　その蛮行の一部が目撃されたのは都内某所にあるプロレスファンが集う飲食店だ。同店の従業員によると「７月ぐらいに２０代のきれいな女性が１人で、プロレスまがいのイベントのポスターを張らせてほしいと言ってきた。数回客として店に通うと、今度はイベントのＤＶＤを買ってほしいと申し出て、居合わせた別のお客さんに売っていた」。
　客は当初買う気はなかったが販売する女性の熱意に負け、かわいそうだからと購入したという。
　このイベントの主催が、ロマゾフィー協会だった。ブログでもプロレスについて熱く語るなど、プロレスに並々ならぬ愛情を注いでいた浩二容疑者。４月にイベントを開き、そのイベントのＤＶＤも出していたが、プロレスまがいの内容は意外にすさまじいものだった。
　メーンは上級セミナーを修了した門下生同士が互いのオーラをぶつけてリングで戦う“オーラプロレス”。「相手のオーラに自分のオーラを同化させたら勝ちだが、やみくもに強いオーラをぶつけて勢いだけで勝とうとするのは反則」という難解なルールにもかかわらず、信者たちは真剣にオーラを放出しあい、浩二容疑者のジャッジで勝敗が決定している。
　ほかには司容疑者の執拗なまでの腰ふりダンスや浩二容疑者の「人間にとって一番大事なのは『芸能』の部分。政治家が偉いことを言っても子供にもＰＴＡにも浸透しないが、ウルトラマンが言ったひと言が子供の心を一生動かす」といった説法も収録。終盤には浩二容疑者の講演回数８６９回突破記念のくす玉割りも行われている。
　本来５００人が入る会場はガラガラでカメラも１台。突っ込みどころ満載で「素人の学芸会」（前出の従業員）という表現がピッタリのＤＶＤだが、価格は７０００円だ。
　誰が買うんだとしか言いようのない商品を女性信者は数週間にわたって店に通い、結局２枚を売った。
「毎回、飲み物はほとんど頼まなかったが、ポスター張りやＤＶＤ販売は真剣に頼んでいた。今思うと、おそらくノルマがあったのでは」（同）
　自己満足のために開いたイベントのＤＶＤを信者に販売させて元を取ろうとする許し難い行為が、協会内では当たり前のように繰り広げられていたようだ。（2010年9月20日付）