【社会】空から見た伊勢湾台風 米軍撮影写真680枚公開へ2010年9月25日 朝刊
1959(昭和34)年9月26日に紀伊半島に上陸し、東海地方を中心に死者・行方不明者5000人の被害を出した伊勢湾台風で、直後の様子を米軍が航空機から撮影した写真680枚のネガフィルムが、米国立公文書館で見つかった。「日本地図センター」(東京都)が発見し、ネガをデジタル化した。近く一般公開する。 撮影日は59年10月8、9日。記録では、三重県四日市市付近から名古屋市南部の伊勢湾沿岸と愛知県の三河湾沿岸部を撮影。写真はモノクロで1枚当たり約2キロ四方が範囲。高潮で堤防が決壊して一帯が浸水している様子や、流木が小学校の敷地を埋め尽くしている様子などが鮮明に写っている。 米軍が戦中、戦後に日本国内の様子を撮影した写真を調査している同センターが昨年6月、米国立公文書館で発見。同センターによるとこの時期に国内ではこれほど高精度の航空写真撮影はできなかったという。 同センター地図研究所の津沢正晴所長は「流木の被害はこれまで地上からの報道写真などでしか知ることができなかった。今回の写真と合わせ、どの範囲でどれくらいの流木が押し寄せたかなど被害を立体的に見ることができる」と説明。今後、研究機関での活用を期待する。 名古屋大災害対策室長の鈴木康弘教授は「米軍が撮影したこと自体、知られていなかった。資料として大変貴重」と驚く。鈴木教授は「既に占領下でない59年に米軍が航空撮影をしていたことも興味深い。本来は復興のためにもすぐに日本政府に譲り渡されるべきで、なぜ50年以上も出てこなかったのか」と強い関心を示した。 PR情報
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