中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【大相撲】

白鵬 神の領域前進60連勝 きょうにも16度目V

2010年9月25日 紙面から

把瑠都を上手投げで下し、懸賞金の束を手に土俵を引き揚げる白鵬=両国国技館で

写真

◇秋場所13日目

(24日・両国国技館)

 横綱白鵬(25)=宮城野部屋=が双葉山の69連勝に次いで昭和以降2人目の60連勝を遂げた。把瑠都を上手投げで下し、自己初の4連覇となる16度目の優勝にも王手。14日目に勝つか、2敗の嘉風と豪風が敗れるかすれば決まる。今年70勝目で、早くも年間最多勝が確定した。かど番大関の魁皇(38)=友綱部屋=は安美錦を引き落とし、かど番脱出にあと1勝。

 ついに「60連勝クラブ」の仲間入りだ。白鵬は把瑠都を豪快な上手投げで下し、連勝をあこがれの双葉山以来72年ぶり、昭和以降2人目になる60の大台に乗せた。

 千代の富士の53連勝を超えた時、次の目標としていた数字をあっさりと達成した。「そう言いましたっけ? 超えるとなると世間やマスコミは一段と騒ぐから、(54連勝の方が)達成感があったかもしれない。今はうれしいと言うのも変だし、何と言えばいいか分からない」と戸惑いを見せた。

 だが節目はしっかりと意識した。力では勝る把瑠都を、下から持ち上げつつ振り回すようにした技ありの上手投げ。50連勝を連勝中の決まり手で最も多い寄り切りで決めたのに続き、今度は第2位の得意技で決めて見せた。取組後には「節目だから」と懸賞金を若い衆に渡し、日ごろの労をねぎらった。

 いよいよ相撲の「神」の領域に近づいた。「次の目標は69連勝? そうなるでしょう」。かつて「双葉山の相撲は自分から当たって勝ちに行く相撲ではない。そういう相撲ができるようになれば100連勝できるかな」と、禅問答のように夢想するしかなかった世界の扉に手をかけた。「(怖さが)あります」と正直な気持ちを打ち明けながら、達人の域へ勇気を持って踏み込む。

 この日、年間最多勝を2005年の朝青龍に並ぶ最速タイで確定させた。だが16度目の優勝は持ち越しになり、14日目に勝てば決定になった。それでも「残り1番1番頑張るだけ。優勝すれば一番良い形で終わるし、できなければ残念」と人ごとのよう。角聖に挑む男にとって、優勝決定は通過点にしかすぎない。 (田中一正)

 

この記事を印刷する


中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ