東京中日スポーツ 55周年企画
55周年イヤーの記念事業や紙面企画をご紹介します
トップ > 中日スポーツ > 大リーグ > 紙面から一覧 > 記事
【大リーグ】イチロー 10年分の思いを激白!!2010年9月25日 紙面から
−10年連続200安打達成、おめでとうございます イチロー「ありがとうございます」 −率直な気分は? 「チームメートがみんな祝福してくれて、なんか、『あ、喜んでいいんだな』と思いましたね。2年前(一部地元メディアの批判的な報道)のことがトラウマ(心的外傷)になっちゃっているからね。それでちょっとホッとしましたね」 −一塁ベンチ前でチームメートが整列していた 「だから、さっきも言ったけど、あれ(2年前)以降、僕の中では何を喜んでいいのかどうかっていうのが、ちょっと分からなくなったりもしたので。まあ去年はね、明らかな8(年連続200安打)から9(年連続のメジャー新記録達成)へというのがありましたけど、今年はチームがこういう状況で、(2年前と)似たような結果ですからね、全体として。なんか自分の感情の感覚っていうのが、あれ以降、変な感じになったので、そういう難しさはあったかなと思います」 −ヘルメットをとってファンに応えていたときも同じことを? 「でも、ファンの人はね、ちょっと違うじゃないですか。純粋なものだと思うので、それは違うと思いますけど」 −今年は開幕から200安打に対して強くは意識しないと話していた 「それもね、なかなか難しいよね。僕はそうしたかったけど。春からそう言っていましたからね。でも、なんかそういう(強く意識する)方向に持って行かれていましたから、そこでも違和感があって、なんか変な感じだなっていうので、ずっとやっていましたからね。2年前は、目標にすることすら否定されて、今度は目標とはしていないのに、なんか変な感じですよね。まあ、筋の通っていない感覚に、ずっと違和感を覚えながらのプレーでしたね。これから具体的な目標も出せなくなるし、なんかいろんなものがふさがれているっていうイメージがします。そういう感じがするので、どうしようかなって感じだね」 −精神的に7〜8割でいくってことも、言いづらい状況だった? 「何を表現して、しない方がいいのかっていうのが分からなくなってきているかな」 −ここまでの道のりの苦しさは? 「だって純粋にプレーだけさせてもらったら、そんなしんどいことはないですよ。まあ、楽ではないですけどね。(ここで『おめでとう』と先発ヘルナンデス)。ひとつ言えるのは、何だろうな。何だろう。1年目(2001年)のスプリング・トレーニングで誰だっけかなあ。マイク・ハンプトン(※)というピッチャーがいましたけど、あのピッチャーと(オープン戦で)対戦したときに、『彼からヒットを打てると思いますか?』っていう質問が飛んできたんですよね。まあ、あの質問は一生忘れないですけど。ヒットが出ないと、『なんで出ないんですか?』っていう質問に変わったわけですよね、10年後。そういう状況を作れたのは、すごく良かった。僕はそんなに、それほど10年前とアプローチとか、野球に対する思いとか変わってないですけど、そういう周りを変化させられたことに対しては、ちょっとした気持ち良さがあるとは言えるでしょうね」 −その質問はアメリカ人記者から? 「いえ、日本人です」 −10年の重みを感じることは他にも? 「(しばらく考えてから)だから、今の話がそうですね。最初は侮辱から始まりましたから。かなり侮辱されましたからね。スプリング・トレーニングでは。それがそういう変化ということじゃないですかね」 −200安打の回数がピート・ローズと並んだが? 「ええ、ぜひ超えてあげたいですね」 −投手有利と言われるなかで記録を伸ばした 「僕の中にはいろんなオプションがあるということは、武器にはなると思うんですよね。いろんな変化、まあベースが大きくなったりすることに対しても、オプションがある。ピッチャーの変化に対しても対応する引き出しがあるので、それも変わらないことですけどね。要するに幅を生むわけで、それがないと結局、対応は難しいよね。新しいものが現れたら」 −達成感はあるか? 「あるある、もちろんありますよ。ただ表現しづらいだけですよ」 −200安打の存在は変わらないか? 「簡単じゃないことは僕が一番知っていますからねえ。それはそれなりの思いがある」 ※イチローとハンプトン(左腕=当時ロッキーズ、現Dバックス)は01年3月28日のオープン戦で対戦し、2打数無安打1三振1死球。当時のハンプトンは99年に22勝、00年に15勝など、それまでのメジャー8年で85勝していた好投手。三振に打ち取った第1打席で9球粘られた同投手は「あいつは典型的なしつこい打者だよ、ホントに」と話した。
|