ブランド品を大切にする韓国人は貧乏くさい!?
京畿道安養市に住むクォンさん(53)=公認仲介士=は、ソウル・江南地区のデパートで、あるブランドの茶色い子牛の革製バッグを176万ウォン(約12万6900円)で購入した。両脇にリボンが付いたこのバッグは、2、3年前から20代-30代の女性に人気がある。
クォンさんは「大学生の娘(26)と、どのバッグを買おうか2カ月間悩んだ」と話した。クォンさんはバッグを購入した後、「2週間、きれいなまま大切に保管しておいた」と話す。2週間後、クォンさんはそのバッグを持って女子高の同窓会に出掛けた。するとその帰り道に雨が降り出し、事件が起こった。
混雑するターミナルで片手に傘を持った通行人が、クォンさんのバッグをこするように通り過ぎた。その瞬間、雨水が付いた部分がひどく変色し、濡れた跡は消えなかった。この日、クォンさんは大切なバッグに付いた染みが気になり、眠れなかった。
翌日午前、クォンさんがバッグを購入した店に電話をかけると、「どうしようもない」という返事が返ってきた。「とても小さい子牛の革を使用しているため、元々そういうものだ」というのだ。一般的に、革製品は水に弱く、特に、子牛や羊の革は水に濡れると変色してしまい、元に戻す方法がない、というのがファッション関係者の説明だ。クォンさんが「200万ウォン(約14万3600円)もするバッグが、水一滴が付いたくらいで変色してもいいのか」と抗議すると、店員は「希望するなら、韓国消費者院に委託しよう」と申し出た。ところが、韓国消費者院の繊維製品審議委員会は、クォンさんに有利な回答を出した。「クォンさんがバッグを使用中、染みが発生したのは、『水滴堅牢度』不良に当たる」ということだった。この言葉通りなら、市中で販売されているほとんどの子牛の革製品は「不良品」となる。
水滴堅牢度とは、革の染色製品に雨水や一定量の水が付いた際にその部分が本来の色と比べてどれだけ変色するかを示すものだ。審議委員会は、「この審議は強制力を持っていないため、業者側がどのように受け止めるかは疑問だ」としている。クォンさんがバッグを購入したブランド側は、審議書を提出したクォンさんに対しバッグの代金を払い戻しした。
クォンさんは「ファッションブランドはなぜ、数百万ウォン(数十万円)もするバッグを、気楽に持ち歩けない素材で作るのか」と疑問を呈した。消費者としては当然の言い分だ。しかし、これに対するファッション専門家らの反応は冷ややかだ。あるファッション評論家は、「このような疑問は基本的に、革製バッグに対する常識が不足しているもの」と話す。「実際、最近のトレンドの一つが『ラグジュアリーの虐待』。1000万ウォン(約72万1100円)を超えるエルメスのバーキンの口をきちんと閉めずに持ち歩くとか、牛革バッグはこすれたくらいが『おしゃれ』というように。大切に、丁寧に扱うのは『貧乏くさい』というわけだ」
これに対してクォンさんは、「外国の消費者たちは皆、何でもないかのように持ち歩いている。『文化的な違い』というのは無責任だ。製品を保護する最低限の機能もないのに、なぜこんなに値段が高いのか、いまだに理解できない」と話した。
韓慶珍(ハン・ギョンジン)記者