イチロー、ローズに挑戦状！！　２００安打１１度目、来年決める！！

　【トロント（カナダ）秋野未知】マリナーズのイチロー外野手（３６）が２３日のブルージェイズ戦で２安打を放ち、自身が持つメジャー記録を更新する１０年連続２００安打を達成した。３回の左翼線二塁打で今季１９９安打とすると、５回の中前安打で２００安打とした。通算１０度は最多４２５６安打を誇るピート・ローズ（元レッズなど）とタイ。イチローは「ぜひ超えてあげたいですね」と、来季に１１度目の新記録樹立を目指す。

　糸を引くような打球が中前に抜けた。ベンチ前に直立不動で整列し、イチローに拍手を送る同僚たち。イチローが２１０安打を記録した９４年から３年連続セ・リーグ首位打者を獲得した元中日のパウエル打撃コーチが記念のボールを要求。敵地のファンからも拍手が降り注ぐ。一塁ベース上の主役は少しためらうようにした後、右手でヘルメットを掲げてスタンドに２度おじぎした。

　表情は一切崩さない。それは、既に来季を見据えているからなのか−。試合後、１０度の２００安打がピート・ローズに並んだことを聞かれると、イチローの目が強い光を帯びた。

　「ぜひ超えてあげたいですね」

　野球賭博への関与で球界を永久追放され、殿堂入りを阻まれているローズは先日、イチローを「世界一幸運な男。内野安打ばかり」と、やゆした。イチローは殿堂切符とされるメジャー３０００安打まであと７７０、ローズが持つ４２５６安打のメジャー記録にも、日米通算であと７４８。２００安打の回数だけでなく、この数字もモチベーションだ。

　苦しい環境も乗り越えた。２年前はチームで浮いていると一部で報道され、この日は「２年前のことがトラウマになっちゃっているからね。チームメートの反応を見て『喜んでもいいんだな』って…」と漏らした。今年６月はチームの大不振で兄のような存在だったグリフィーが引退。イチローは「支えられていたものがなくなった」と大きな空虚感を味わった。

　だからこそ、代名詞の「２００」を１０年連ねてみせたことの意味は大きい。そして、ここからは「史上最高の安打王」を懸けたローズとの戦いが待っている。