コンタクトレンズ(CL)の診療所の不正を巡り、指導・監査すべき「医療Gメン」が収賄容疑で大阪府警に逮捕された。厚生労働省国際年金課課長補佐の住友克敏容疑者(50)。CL販売店を展開するコンサルティング会社役員、佃章則容疑者(55)=贈賄容疑で逮捕=らから、総額約2000万円にも上る大金を口座振り込みで受け取っていた。「医療Gメンとして優秀だったのに。彼に何があったのか」。突然の逮捕の知らせに、同僚らの間に衝撃が走った。
捜査関係者らによると、住友容疑者の銀行口座には複数回にわたり、計約2000万円もの不明朗な入金が確認された。いずれもコンサルティング会社「シンワメディカル」側からのものだった。ほかにも飲食などの接待を受けていたとの証言もあるという。
厚労省の同僚らによると、住友容疑者は北海道出身。高校卒業後の79年に旧社会保険庁に入庁した。年金業務に長く携わったが、04年に医療機関の不正を指導・監査する医療指導監査官となった。後に、監査を指揮する特別医療指導監査官に昇進した。
当初は年金と畑違いの職場に戸惑いも見せたというが、すぐに「医療Gメン」として活躍を始めたという。当時の同僚は「仕事ののみ込みが早く、仕事の処理スピードは速かった」と振り返る。地方機関からの書類に目を通して「どうしようもない」と吐き捨てるように言うなど、仕事ぶりも熱心だったという。
一方で、無類の競馬好きとしても知られていた。毎週末の競馬を楽しみにし、同僚らとの雑談でも競馬の話が中心だったという。また、同僚らと酒を飲みに行くこともほとんどなかった。同僚らは「ギャンブルがかなり好きで、お金の工面はどうしているのか心配していた。まさか、わいろをもらった疑いで逮捕されるなんて……」と驚いていた。【服部陽、安藤龍朗】
毎日新聞 2010年9月26日 2時32分