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1993年に公開された映画「ヌードの夜」(石井隆監督)が17年ぶりに復活する。俳優・竹中直人(54)が再び演じることを熱望し、新たに「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」(10月2日公開)としてよみがえった。スポーツ報知のインタビューで「役作りはしない」など竹中流の役者論を交えながら「この作品をダークサイドな“寅さん”みたいにしたい」とシリーズ化の夢を披露した。
17年という異例の長期ブランクを経ての“続編”だ。竹中が脚本を受け取ったのは約10年前だったが、昨年に「やりませんか」と石井監督に呼びかけ、ネックだった資金も集まったことで、ようやく実現へ向けて動きだした。そもそもは、約20年前にゴミ箱に捨てられていたシナリオを拾ったことで始まった「運命の作品」だ。
主人公は、何でも代行屋の紅次郎。今作も、女性をめぐって事件に巻き込まれる。見る側は17年間に次郎に何があったのか想像してしまうが、竹中のアプローチは違う。「役は作らないですよ。瞬発力と集中力。自分のこともわかんないのに、台本読んで、その人の人生把握するなんてあり得ない。わかんないまま演じるから面白い」とニヤリ。「『本番!!』がかかれば、17年空いても大丈夫」と胸を張った。
大好きな石井組はハードな撮影の連続だ。ぬれ場、徹夜、殴られる、けられるは当たり前。撮影はしなかったが、布団圧縮機の中で首を絞められるシーンもあった。「苦労するって映画に付き物。当たり前じゃないですか。それを乗り越えるのが面白いんですよ」。困難が心地いい。
「ぐじゃぐじゃが好き」。日程が合えば仕事は断らず、3本掛け持ちも当たり前。旅先で迷子になるのが好きという感覚は、演じる上でも同じだ。「生きてることも、演じることも迷子が楽しい。中ぶらりんで、迷ったまま演じる方がいいんです」と迷子のススメ。「僕が演劇学校やってたら、役を理解するな、答えを出すなって言う」と独特の哲学を披露した。
17年の時間が流れたが、本音は「ヌードの夜」をシリーズ化したい。「ダークサイドな“寅さん”みたくしちゃって、毎回女優にほんろうされる。裸にならなきゃいけないから、マドンナ役を探すのが大変ですね」。自然体の名優は目を輝かせた。
◆竹中直人(たけなか・なおと)1956年3月20日、横浜市生まれ。54歳。83年に「ザ・テレビ演芸」でデビュー。91年に「無能の人」で映画監督業に進出し、これまで6作でメガホンを取った。96年に大河ドラマ「秀吉」に主演。家族は妻・木之内みどりと1女1男。10月スタートの関西テレビ系ドラマ「フリーター、家を買う。」にも出演する。
(2010年9月25日11時29分 スポーツ報知)