大関死守へ　魁皇あと１勝！…秋場所１３日目

魁皇（右）は安美錦を引き落としで下し７勝目を挙げた

　◆大相撲秋場所１３日目　○魁皇（引き落とし）安美錦●（２４日・両国国技館）　カド番の大関・魁皇が西前頭４枚目の安美錦を引き落とし、勝ち越しに王手をかけた。１４日目に小結・稀勢の里を下し、ご当所の九州場所（１１月１４日初日・福岡国際センター）を大関として迎えたい。幕下では平成生まれの西１３枚目の高安（たかやす、２０）＝鳴戸＝が東４９枚目の祥鳳（２９）＝春日山＝を寄り倒し７戦全勝で幕下優勝。来場所の新十両昇進が確実で、平成生まれで初の関取誕生となる。

　すさまじい「魁皇コール」が国技館にこだました。拍手と声援が３８歳の背中に降り注ぐ。６勝６敗で迎えた安美錦戦。勝てば勝ち越しに王手。負ければ絶壁に追い込まれる危機をファンはよく分かっていた。

　運命の一番は一瞬だった。立ち合いで思い切って敵を引き込んで引き落とした。１秒４で決めた７勝目。「自分が思ったのと違う相撲だった」と引き技での王手に首を振ったが館内は、歓喜の拍手がわき起こった。放駒理事長（元大関・魁傑）は言った。「いい相撲を取って勝ってもらうのが一番なんだろうけど、今はそんなこと言っていられない。ファンも分かっているんだろう」。相撲内容を超越した魁皇の世界に館内が酔いしれた。

　１３度目のカド番。負け越せば進退の危機に立つ。打ち出し後、師匠の友綱親方（元関脇・魁輝）から注目発言が飛び出した。勝ち越せば「当然、来場所もやる」と明言。その一方で負け越しても「本人の意思を尊重する」と、関脇陥落でも魁皇の気持ち次第で現役続行する可能性を示したのだ。

　史上１位の幕内勝ち星８４５勝など数々の金字塔を打ち立てた大関への師匠としての親心だ。もちろん、あと１勝すれば何の問題もない。「今は少しでも自分の相撲を取りきるだけ」と魁皇。残り２日間。完全燃焼するだけだ。