「大相撲秋場所13日目」(24日、両国国技館)
横綱白鵬が大関把瑠都を退け、60連勝を達成した。昭和以降では69連勝の双葉山に続く、史上2人目の大台到達。さらに今年の70勝目となり、4年連続の年間最多勝を決めた。秋場所13日目での決定は、05年の朝青龍に並ぶ史上最速記録となる。賜杯争いは無敗でトップを独走。14日目に大関琴欧洲を下せば、4場所連続16度目の優勝が決まる。大関魁皇は7勝目を挙げ、かど番脱出にあと1勝とした。
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「角聖」の領域に、足を踏み入れた。初場所14日目から続く連勝記録が、ついに「60」の大台に到達。白鵬が昭和以降では双葉山以来の偉業を成し遂げた。
圧巻の横綱相撲だ。把瑠都の突きをものともせず、素早く右四つに組み止め、先に左上手を奪って寄り立てた。最後は腰高になった相手を、豪快な上手投げでたたきつけた。怪力大関を力相撲でねじ伏せ、悠然と花道を引き揚げる姿には、大横綱の風格が漂う。
支度部屋で60連勝を達成した心境を問われると「うれしいって言ったら変な感じがする」。年間最多勝決定も「あっそう」と受け流し、最速タイと聞かされても「そうですか。頑張ります」と素っ気ない返答に終始。「『並ぶ』、『超える』と騒ぐマスコミは怖い」と話し、おどけた笑みを浮かべた。
連勝を続ける日々で、気負いも高ぶりも感じさせない横綱だが「角聖」「相撲の神様」とうたわれた双葉山の69連勝に近づいていくことに、「怖さがある」と漏らした。それでも「結果を求めずにやること」と言い聞かせ、高まるプレッシャーを封じ込めてている。
14日目に勝てば16度目の優勝が決まる。「15日間、一番一番だよ。最後に優勝で終わればいい形。できなければ残念」。頂は見上げず、足元だけを見つめて『神の域』まで上り詰める。