話し合いで解決する外交の能力が全くない政府〜尖閣諸島の問題(1)

今や世間は尖閣諸島一色です。
私は、中国の強気で理不尽な要求は決して理があるものではないと確信しつつ、一方で中国とは一触即発みたいな不安と反感を煽るような報道と、無為無策の政府には危機感を覚えます。

それにしても尖閣諸島をめぐる日本政府の外交は余りにお粗末で身も蓋もありません。中国を話し合いのテーブルにつかすことに尻込みして逃げる一方で、沖縄の自衛隊の配備を現在の二千人から10倍の二万人に増強しようとしている。
これはいたずらに関係を悪化させるだけの、まさに無能な臆病者の典型的愚行です。

憲法は、もめ事の解決手段として武力を使うことを一切禁止しました。もめ事は武力ではなく話し合いによって平和理に解決しろ、それ以外の方法は認めない、いう高いハードルの課題を課しています。(憲法前文の国際協調主義からもそれは言えると思います)
ところが政府が実際にやっていることー領土問題は存在しないからと問題を見て見ぬふりで先送り、そのくせ、ひたすら事を荒立てたくないという刹那的な欲求を満たすため、後先考えずに逮捕した船長を処分保留のまま釈放して墓穴を掘る(これは自民党時代、おめおめと金正日の息子をチャーター機で帰らせてしまった失態を思い出させました)
こんな筋を通せない「言いなり外交」は、およそ憲法が要求している「話し合いによる解決」という成熟した外交姿勢にはほど遠いとしか言えません。私が政府の対応を批判しているのはこれが理由です。
ですから、左翼系のブログにしては珍しく(笑)この問題についての自分の考えを書いておこうと思いました。長くなりそうなのでいくつかに分けて書きたいと思います。


【尖閣諸島はどこの領土なのか】
まずこれをはっきりさせておかなければいけませんね。
これについて、赤旗を全文引用させて頂きましょう。

日本の領有は正当/尖閣諸島 問題解決の方向を考える

沖縄の尖閣(せんかく)諸島周辺で今月、中国の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突し、漁船の船長が逮捕されたことに対し、尖閣諸島の領有権を主張する中国側の抗議が続いています。日本共産党は、同諸島が日本に帰属するとの見解を1972年に発表しています。それをふまえ、問題解決の方向を考えます。


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歴史・国際法から明確

 尖閣諸島(中国語名は釣魚島)は、古くからその存在について日本にも中国にも知られていましたが、いずれの国の住民も定住したことのない無人島でした。1895年1月に日本領に編入され、今日にいたっています。

 1884年に日本人の古賀辰四郎が、尖閣諸島をはじめて探検し、翌85年に日本政府に対して同島の貸与願いを申請していました。日本政府は、沖縄県などを通じてたびたび現地調査をおこなったうえで1895年1月14日の閣議決定によって日本領に編入しました。歴史的には、この措置が尖閣諸島にたいする最初の領有行為であり、それ以来、日本の実効支配がつづいています。

 所有者のいない無主(むしゅ)の地にたいしては国際法上、最初に占有した「先占(せんせん)」にもとづく取得および実効支配が認められています。日本の領有にたいし、1970年代にいたる75年間、外国から異議がとなえられたことは一度もありません。日本の領有は、「主権の継続的で平和的な発現」という「先占」の要件に十分に合致しており、国際法上も正当なものです。

中国側の領有権主張は70年代から
 中国、台湾が尖閣諸島の領有権を主張しはじめたのは1970年代に入ってからです。1969年に公刊された国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の報告書で、尖閣諸島周辺の海底に石油・天然ガスが大量に存在する可能性が指摘されたことが背景にあります。台湾が70年に入って尖閣諸島の領有権を主張しはじめ、中国政府も71年12月30日の外交部声明で領有権を主張するにいたりました。

 たしかに、尖閣諸島は明代・清代などの中国の文献に記述が見られますが、それは、当時、中国から琉球に向かう航路の目標としてこれらの島が知られていたことを示しているだけであり、中国側の文献にも中国の住民が歴史的に尖閣諸島に居住したことを示す記録はありません。中国が領海法に尖閣諸島を中国領と書き込んだのは92年のことでした。それまでは、中国で発行された地図でも、尖閣諸島は中国側が「領海」とする区域の外に記載されていました。

日本の主張の大義を国際的に明らかに再発防止の交渉を
 日本共産党は72年、「尖閣列島問題にかんする日本共産党の見解」(同年3月31日付「赤旗」、『日本共産党国際問題重要論文集9』掲載)を出し、日本の領有権は明確との立場を表明しました。これは、歴史的経過や国際法の研究にもとづき、これらの島とその周辺が日本の領土・領海であると結論したものです。

 その後明らかになった歴史資料に照らしても、当時のこの見解を訂正しなければならない問題は、あらわれていません。

 領海は、国際法上、その国が排他的に主権を行使する領域です。尖閣諸島付近の日本の領海で、中国など外国漁船の違法な操業を海上保安庁が取り締まるのは、当然です。

 同時に、紛争は領土をめぐるものを含め「平和的手段により国際の平和、安全、正義を危うくしないように解決しなければならない」のが、国連憲章や国連海洋法の大原則です。その精神に立って日本外交には、第一に、日本の尖閣諸島の領有権には明確な国際法上の根拠があることを国際舞台で明らかにする積極的活動が必要です。

 第二に、今回のような事件の再発防止のため必要な交渉をおおいにすすめることが求められています。

 中国側も、事実にもとづき、緊張を高めない冷静な言動や対応が必要でしょう。



尖閣諸島は日本固有の領土である。この歴史的事実について日本は一歩も妥協する必要はないと思います。
しかし「一歩も妥協しない」という毅然とした態度というのは、決して「場合によっちゃ武力攻撃も辞さないぞ」と逆毛立てて身構えることではありません。これは非常に未熟な外交姿勢だと思います。個人に置き換えれば、狭量で人付き合いや調停が非常に下手くそ、ということです。

(2)に続きます。




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Comment

[1881]

水面下で色々と動いているのかも知れませんが、
鳩山政権時の普天間基地移設問題と同じで、まともに話し合った形跡がないんですよね。
外交下手というか何といいますか、面倒な事から逃げている。
あまりにも胆力がないような……。

[1883]

残念ですが、尖閣問題は、諸外国から見れば、いくつもある領有権紛争地の一つに過ぎません。
日本がいくら「わが国固有の領域」とNHKを使って喚いたところで同じです。これは中国も台湾も同じ事を言ってますから。

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