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【中国人船長釈放】菅政権、対米関係でも敗北 (1/2ページ)

2010.9.25 21:07

 【ワシントン=佐々木類】中国漁船衝突事件で日本側に勾留(こうりゅう)されていた中国人船長が突然、釈放された要因の一つとして、米政府が早期解決と釈放を日本側に求めたとの見方がある。その真偽はなお判然としないものの、米政府が中国への配慮により重きをおいたとすれば、菅政権は事件をめぐる対米外交にも敗北し、民主党政権下における日米関係の脆弱(ぜいじゃく)さのつけが回ったともいえる。

 ニューヨーク市内のホテルで行われた23日の日米外相会談。クリントン国務長官は尖閣諸島についてこう明言した。

 「明らかに(米側の日本防衛義務を定めた)日米安保条約が適用される」

 同日夕には、ゲーツ国防長官とマレン統合参謀本部議長が国防総省で緊急の記者会見を開き、「尖閣諸島地域へのわれわれの関与は、間違いなく変わっていない」「(米国は日本の)同盟国としての責任を十分果たす」と口をそろえた。

 ここまでは、前原誠司外相もそれなりの成果を上げたかにみえた。日米安保条約の適用ほど東シナ海における米軍の存在感を強く印象付け、中国サイドを牽(けん)制(せい)するカードはないからだ。だが、中国を牽制したはずのその効用も、突然の船長釈放という知らせに瞬く間にかき消された。

 加えて、オバマ大統領の対外的な反応は実にあっさりしたもので、実務交渉に当たったワシントンの日本外交筋を落胆させた。

 ホワイトハウスが日米首脳会談後の23日夜に出した1枚紙の発表文。北朝鮮やイラン、アフガニスタンなどの国名はあったが、中国の「ち」の字もなかった。中国を想起させたのは、「両首脳は西太平洋の海洋問題について議論し、緊密に協議していくことで一致した」という抽象的な文言だけだった。

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