尖閣:船長釈放に日本国内猛反発
日本政府による中国人船長の釈放決定が、日本国内に大きな暴風をもたらしている。野党はもちろん、与党・民主党の内部からも厳しい批判の声が上がっているほか、インターネット上では大論争が沸き起こっている。
日本政府は、今回の釈放決定について、「国内法的な判断」によるものとの立場を固守している。仙石由人官房長官は、「検察独自の判断によるもの」という立場を表明したが、これを信じる人はほとんどいない。24日午後には、民主党所属議員5人が共同声明を発表し、「捜査を放棄し釈放するのは、法秩序をじゅうりんする行為」として、釈放決定の撤回を要求した。
自民党など野党は、「屈辱外交」「完全な外交的敗北」とし、内閣の責任を問う立場を明らかにしている。安倍晋三元首相は「極めて愚かな判断」と指摘し、みんなの党の渡辺喜美代表も「官首相の弱腰外交を糾弾しないわけにはいかない」と主張した。極右傾向の強い石原慎太郎東京都知事は、「本当に誤った判断。中国がやっていることはヤクザと全く変わらない」と語った。
こうした中、一般世論も煮え立っている。メディアの報道によると、今月7日に中国漁船を拿捕(だほ)した石垣海上保安部には、この日午後、一般人からの電話が殺到した。ほとんどは「腹が立つ」という内容だったという。また、Yahoo!Japanなどのポータルサイトや専門家のサイトには、討論コーナーが続々と開設され、「中国の力の前に日本は何ができるのか」「中国の一方的な外交はさらに激しくなる」といった意見が数千件にわたって寄せられた。
今回の問題は、日本社会の保守化を加速する可能性が大きい。あるメディア関係者は、「戦争ができない国の限界が現れたのではないか。将来に対する不安が高まる中で、さまざまな論争の発端となる可能性がある」と語った。東シナ海、南シナ海を中心とする武装強化の主張がさらに強まる、との見解を示す専門家も多い。今回の事態そのものは、中国人船長を釈放したことで一段落したが、日中関係の将来に大きな影響を及ぼすものとみられる。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員
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