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中国に外交的敗北…船長釈放に抗議相次ぐ

9日、石垣海上保安部から送検される中国漁船の船長、セン其雄容疑者
9日、石垣海上保安部から送検される中国漁船の船長、セン其雄容疑者
Photo By 共同

 沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の領海内で今月7日、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検されていた漁船のセン其雄(せん・きゆう)船長(41)について、29日の拘置期限を待たずに、処分保留で釈放することを決めた。一方、中国当局は20日に邦人4人を中国・河北省で拘束し、23日に日本側に通達。北京の日本大使館がこの事実を明らかにしたのは24日で、野党は「明白な外交的敗北」などと一斉に批判した。

 那覇地検は、処分保留で釈放することを決めた理由について「わが国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上、身柄を拘束して捜査を続けることは相当ではないと判断した」と説明、異例の政治的配慮に言及した。「日中関係を考慮」は「政治の関与」をにおわせたと指摘する声も上がっている。

 沖縄県警八重山署に拘置されている船長は容疑を否認。地検は「故意に衝突させたことは明白」と断定し、巡視船の航行に支障が出て、乗組員が海に投げ出される恐れがある危険な行為だったとしながらも、「巡視船の追跡を逃れるためにとっさにとった行為で、計画性は認められない」と述べた。乗組員にケガがなかったことも挙げた。

 海上保安庁は衝突の様子を撮影したビデオを詳しく分析。その結果、漁船は衝突の直前、巡視船の斜め後ろにいて、巡視船は進路を変えずに一定の速度で航行していたことが判明した。起訴に持ち込む方向で粛々と捜査が進められ、18日には当時の前原誠司国土交通相(現外相)が「どちらが体当たりしてきたか一目りょう然に分かる」と発言。海保幹部は19日に拘置期間が延長された際に「釈放にはならないはず」と強気な姿勢を見せていた。海保筋は釈放決定を受けて「担当検事も起訴するつもりだった」と話した。実際に、検察当局では「起訴できるだけの証拠はそろっている」という意見が強かっただけに、幹部の1人は「司法じゃ手に負えない問題なんだ」と漏らした。

 中国は拘置延長後、日中交流イベントの延期を次々と通告。上海で来月開催される予定だった「SMAP」のコンサートチケットの販売も停止され延期が決定した。また、レアアース(希土類)の中国から日本への輸出手続きの停止も判明。拘置期限の29日に起訴した場合、さらに踏み込んだ“対抗措置”が取られることも予想されていた。

 政府は「地検独自の判断」(仙谷由人官房長官)「指揮権を行使した事実はない」(柳田稔法相)など、官邸サイドが外交的配慮から「介入」したとの見方を否定した。

 東京・霞が関の海上保安庁には、一般市民から「何で釈放するんだ」などと抗議の電話が相次いだ。船長は釈放後、石垣空港から中国政府が用意したチャーター機で日本を離れる。

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