沖縄県の尖閣諸島の日本の領海内で中国の漁船と海上保安部の巡視船が衝突した事件で、那覇地方検察庁が中国人の船長を処分保留のまま釈放したことについて、野党だけでなく、与党の一部からも「中国の圧力に屈したのではないか」などと批判が出ており、政府は、この間の経緯について説明を迫られることになりそうです。
この事件で、那覇地方検察庁は、逮捕されていた中国人の船長について、「わが国の国民への影響や日中関係を考慮すると、これ以上、身柄を拘束して捜査を継続することは相当でないと判断した」として、処分保留のまま釈放しました。これについて、仙谷官房長官は「粛々と国内法にのっとって手続きを進めた結果だ」と述べたほか、柳田法務大臣も「指揮権を行使した事実はない」と述べ、政府は検察当局が法律に基づいて判断した結果だとしています。これについて、公明党の山口代表は「大局的見地から冷静に対応することが必要だ」と述べたほか、社民党の福島党首も「刑事上の処分としての判断なので、尊重するしかない」と述べました。一方で、自民党の谷垣総裁は「今度の処理はふに落ちず、腰くだけになったのではないか。中国の圧力に屈したという印象はよくない」と述べたほか、みんなの党の渡辺代表は「那覇地検の判断でできることではなく、政権トップの決断によるものだろう」と述べ、批判しました。また、共産党の志位委員長は「なぜ釈放なのか、検察と政府は国民に納得のいく説明をする責任がある」と述べました。さらに、与党内でも、国民新党の亀井亜紀子政務調査会長が「安全保障という観点から国益が損ねられた」と述べたほか、民主党内の一部からも「中国の圧力に屈したという印象を免れえない」などといった批判が出ており、民主党は、来週、政策調査会の部門会議を開き、関係省庁から説明を受けることにしています。このように、今回の対応については、野党だけでなく、与党の一部からも批判が出ており、政府は、来月1日に召集される予定の臨時国会などで、この間の経緯について説明を迫られることになりそうです。