派手な角竜2種を発見、米ユタ州
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 9月24日(金)18時55分配信
ケラトプス科の恐竜はほとんどが四足歩行の草食で、角と頭部後方から突き出した骨質のえり飾りを持っている。
今回発見された2種のうち大きい方のユタケラトプス・ゲッティ(Utahceratops gettyi)は頭蓋骨の長さが2.3メートルに及び、研究の共著者であるユタ大学のマーク・ローウェン氏は「超バカでかい頭の巨大なサイ」だという。
もう1種のコスモケラトプス・リカルドソニ(Kosmoceratops richardsoni)は、今回の研究を率いたユタ大学のスコット・サンプソン氏の発表によれば、「これまでに発見された最も驚異的な恐竜の1つで、巨大な頭部にはいろいろな骨質の飾りものがついている」という。実際、コスモケラトプスの頭部は角で覆われており、鼻の上に1つ、両目の上と両頬の先端に1つずつ、さらに頭部のえり飾りに沿って数個の角がついている。
「こうした奇抜な特徴のほとんどが捕食動物を撃退するための武器としてはほぼ無力だったと思われる」とサンプソン氏は語った。どうやら角は異性を惹きつけるか同性のライバルを脅かすための性的ディスプレー(誇示)だったようだ。
ユタケラトプスとコスモケラトプスの部分化石は、かつてララミディアと呼ばれる“失われた大陸”があったユタ州のグランド・ステアケース・エスカランテ・ナショナル・モニュメントで発掘された。
白亜紀の時代、北アメリカ大陸中央部は水路で東西に分かれ、西側のララミディア大陸は約3000万年にわたって事実上独立した陸塊となっていた。
「タイムマシーンで白亜紀後期に行けば、メキシコ湾から船に乗って、陸をまったく目にすることなく北極海まで行けただろう」と、メリーランド大学の古脊椎動物学者であるトーマス・ホルツ氏はナショナル ジオグラフィック誌に語った。
かつてのララミディア大陸は現在では化石発見のメッカとなっている。ホルツ氏によれば、これは当時の地質学的活動のせいでもあるという。「当時は、後にロッキー山脈となる地形の形成活動が盛んで、山脈が隆起し分裂した。堆積物が斜面を流れ落ちて堆積岩となり、そこにこうした化石が埋没した」。同氏は今回の研究には参加していない。
ユタケラトプスとコスモケラトプスは世界中で続いている一連の角竜発見の最近の2例に過ぎず、今回の研究の著者たちは角竜の新しい化石がまたすぐに発掘されるだろうと考えている。
研究の共著者、カリフォルニア州クレアモントにあるレイモンド・M・アルフ古生物学博物館のアンドリュー・ファルケ氏は、「ユタで発見された新種が研究に“華”を添えてくれた」と述べた。
この研究は2010年9月22日、オンラインジャーナル『PLoS One』に発表された。
Rachel Kaufman for National Geographic News
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最終更新:9月24日(金)18時55分