中国船長の釈放決定について、最高検幹部は「法と証拠に基づいて起訴できるが、日中関係などを考えて処分保留とした。検察だけで決めた」と述べた。さらに拘置期間を残した決定の理由を「いろいろと注文が付く前に発表しようと思った」と説明。中国で邦人が拘束される前に方針は決まっていたとして、拘束事件で発表は早まったが、結論には影響を与えていないと強調した。
一方、海上保安庁の中堅幹部は「法と証拠で判断すべき検察が『日中関係を考慮』と言っていいのか」と指摘。「騒げば日本では起訴されないのかと思われる。外国漁船の取り締まりをしている現場の保安官を危険にさらす」と憤った。
那覇地検から決定を知らされたのは地検の記者会見直前で、すぐに幹部らが集まった。ある幹部によると、一様に「びっくりした」との声が上がり、「検事の判断なので仕方がない。大臣に報告しないとな」と確認し合ったという。
この幹部は「現場には落ち込むなと言わないと。われわれに日中関係は関係ない。領海で悪いことをされたら捕まえるだけだ」と強調した。