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9月26日付け照明灯

2009年9月26日

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 「突然現れて、ほとんど名人」。向田邦子さんが直木賞を受賞した時、コラムニストの山本夏彦さんが語ったとされる賛辞だ。先日、向田さんが脚本家デビューした“幻の作品”が発見されたと本紙が伝えた。そのドラマ「ダイヤル110番」は、筆者の幼い日の記憶に残っている

▼ことしは向田さんの没後28年、生誕80年。折に触れて向田作品を再読する。人間に対する鋭い洞察、昭和を生きた家族への愛情。その中に、読むたびに胸が熱くなる「字のない葉書」と題する、文庫本で3ページほどのエッセーがある。こんな内容だ

▼終戦の年の4月、小学1年生の末の妹が甲府に疎開することになった。父が、自分あてのおびただしい数のはがきを用意して妹に渡す。「元気な日はマルを書いて出しなさい」。妹はまだ字が書けなかった

▼疎開先から、はがきが来る。初めは、はみ出すような大きなマル。が、マルは急激に小さくなり、やがてバツになった。ついに、バツのはがきも途絶える。やせ細った妹が帰ってくる。はだしで飛び出した父が妹の肩を抱く。「私は父が、大人の男が声を立てて泣くのを初めて見た」

▼大所高所ではなく、茶の間や台所から、向田さんは昭和という時代と市井の人たちの姿、真情をすくい上げ、丹念に書きとどめた。



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