世界ボクシング協会(WBA)フライ級王者の亀田大毅(21)=亀田=が25日、初防衛戦に臨む。挑戦者は大毅の古巣、協栄に所属する同級5位の坂田健史(30)。両陣営の因縁は深く、完全決着が望まれるが、ジャッジの人選で一悶着あったようだ。
「坂田はKOじゃないと勝てないだろう」。決戦を前にボクシング関係者は不穏な予言をする。この関係者によると、興行主の協栄は今回、ジャッジの人選についてWBAに「メキシコ人はやめてほしい」と要望していたという。理由は「亀田家がメキシコを拠点に活動し、現地で影響力を強めているので、採点が公平でなくなっては困るとの判断だ」(同)。
伏線がある。亀田家の三男和毅が先月、メキシコで行った試合で、いったん引き分けと判定されながら、後に「採点の集計ミス」として一転、全勝記録を守った。なんと会場にいなかった世界ボクシング評議会(WBC)会長から「判定がおかしい」と指示され、採点が見直されたという。
だがWBAは協栄側の要望を聞き入れず。今回選ばれたジャッジ3人の中にはメキシコ人が含まれる。坂田側にとっては憂慮すべき展開だ。
協栄は亀田家の“疑惑の判定”で、火の粉を浴びた当事者。2006年に長男興毅が世界戦で王者ランダエタに判定勝ちした際、疑義を生じて再戦に。さらに07年の世界戦で大毅が王者内藤大助に反則を働くと、世間の猛批判を受けて協栄は契約を解除したが、いまだ両者はファイトマネーを巡って係争中だ。大毅と坂田も、かつては同じ釜のメシを食った間柄。試合後は“ノーサイド”となるか。それとも新たな遺恨が生まれるのか。