東京(CNN) 中国で日本人4人が拘束され、軍事管理区域に許可なく侵入して軍事施設をビデオ撮影した疑いで取り調べを受けている。中国の国営メディアが伝えた。
拘束された4人は準大手ゼネコン、フジタの関係者。同社が24日に明らかにしたところでは、旧日本軍が第2次世界大戦中に中国に残した化学兵器処理の政府プロジェクトのため、中国に派遣されていた。
4人から同社に最後に連絡があったのは21日だったという。外務省は24日、中国から4人の拘束について連絡を受けたが、拘束理由などについては情報がないと説明した。
フジタは2009年4月に米ゴールドマン・サックスに買収されている。
両国の間では、日本が漁船衝突事件で中国人船長を逮捕したことをめぐり対立が深まっている。中国人船長は東シナ海の釣魚島(日本名・尖閣諸島)沖で9月8日に公務執行妨害容疑で逮捕された。これに対して中国は、船長の釈放を求めて日本に対する外交圧力を強めている。
この問題で米国は、中国との関係を損なうことなく公海上での軍事的行動は牽制したいとの思惑から、綱渡り的外交を強いられている。
米国は尖閣諸島の領有権について公式見解を明らかにしていないが、日米安全保障条約の適用対象になると解釈している。ゲーツ国防長官は23日、対立が激化した場合は「同盟の責務を果たす」と述べた。
マレン米統合参謀本部議長は国防総省で記者団に対し、事態を慎重に見守っているとしたうえで、「この地域の同盟国である日本を極めて強く支持する」と表明した。
中国と日本はそれぞれニューヨークでクリントン国務長官と会談し、この問題を取り上げた。国務省広報担当のクローリー氏によれば、23日の前原誠司外相との会談でクリントン長官は、対話を通じた問題の解決を促した。
オバマ大統領は23日に中国の温家宝首相と会談したが、尖閣諸島は議題に上らなかったという。大統領はその後、菅直人首相と会談した。