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【発明の名称】 |
記憶媒体用ソケット装置およびその締結固定構造 |
【発明者】 |
【氏名】諏訪 要 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノン株式会社内 【氏名】木村 浩司 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノン株式会社内 【氏名】梶原 英明 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノン株式会社内 |
【課題】着脱可能なリムーバブル記憶媒体用のソケット装置で、密着積層実装可能な薄型構造を提供する。
【解決手段】互いに平行な裏表二面を有する箱状ソケットの第1面に外方へ向けて突出した位置決め突起と第2面に該突起と嵌合する位置決め穴を設け、複数のソケット装置を密着状に積層したとき前記突起と穴とで位置規制される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに平行な二面を有する箱状のソケットの第1面側に外方に向けて突出した位置規制突起と、該第1面と対向面の第2面側の同位置に該突起と嵌合する穴が穿設された記憶媒体用ソケット装置であって、 前記記憶媒体用ソケット装置が複数個密着状態に積層可能であり、積層された隣同士のソケットの該第1面の突起と該第2面の穴とで互いに位置規制される事を特徴とする記憶媒体用ソケット装置。 【請求項2】 前記第1面側に突出して設けられた突起と、前記第2面側に穿設された穴のそれぞれが1対である事を特徴とする前記請求項1に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項3】 前記複数積層されたソケット装置の最外ソケット外面に位置する該突起又は穴は、該ソケット装置が装着される機器本体への位置決め手段として用いる事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項4】 装着された記憶媒体をイジェクトし、前記記憶媒体を取り外し可能状態にするイジェクト機構を更に有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項5】 前記イジェクト機構はソケット装置の記憶媒体挿着方向前面に設けた操作部材を手動で操作し記憶媒体取り外し可能状態にするイジェクト機構であることを特徴とする請求項4に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項6】 前記イジェクト機構は駆動源を含み該駆動源の駆動力により記憶媒体をイジェクトさせるオートイジェクト機構であって、該二つ面の側面に該二つの面の延長面より突出しない範囲内に設けられる事を特徴とした請求項4に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項7】 前記イジェクト機構はソケット装置の記憶媒体挿着方向前面に設けた操作部材を手動で操作し記憶媒体取り外し可能状態にする第一のイジェクト機構と、駆動源を含み該駆動源の駆動力により記憶媒体をイジェクトさせる第二のイジェクト機構を有し、該第二のイジェクト機構は該二つ面の側面に該二つの面の延長面より突出しない範囲内に設けられる事を特徴とした請求項4に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項8】 前記ソケット装置の前記第1面または前記第2面の少なくとも片面を、板状の金属材料で実質的に覆うことを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項9】 前記複数積層されたソケット装置の装置間に、振動吸収作用のある弾性部材より構成された薄板状の介在体を介在させたことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項10】 前記複数積層されたソケット装置の装置間に、該ソケット装置のフレーム材料より熱伝導率の高い部材で構成された薄板状の介在体を介在させたことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項11】 前記複数積層されたソケット装置の装置間に、振動吸収作用のある弾性部材と該ソケット装置のフレーム材料より熱伝導率の高い部材との積層材より構成された薄板状の介在体を介在させたことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項12】 前記記憶媒体は、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、カードのいずれかであることを特徴する請求項1乃至請求項11に記載の記憶媒体用ソケット装置。 【請求項13】 複数ソケットの該平行な面の同一位置に貫通状態に穿設された穴を互いに位置規制された密着積層状態で、串刺し状に貫通する締結部品により同時に固定する事を特徴とした請求項1乃至請求項3に記載の記憶媒体用ソケット装置における締結固定構造。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は着脱可能な記録メディア用のソケット装置に係わり、更には記録メディアとしてハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、メモリーカードが複数装着される場合に有効なソケット装置に関する。 【0002】 従来、パーソナルコンピュータ(PC)などの装置に多用されている記録メディアは、内部に情報を保持する半導体記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記憶媒体などが用いられている。又、記録の対象となるデジタルデータも、文字などのテキストデータに留まらずデジタルカメラやデジタルビデオからの静止画像や音声データを初めとして、大容量の動画像をも記録蓄積するようになってきた。 【0003】 又、テレビ放送等を記録し保存する機器としてビデオテープレコーダが普及しているが、記録媒体としてビデオテープを用いてたビデオテープレコーダが普及しているが、回転光磁気記憶媒体いわゆるDVDなどを用いた記録方式が出現しており、更には数10Gバイトクラスの記録容量を持ったハードディスク装置が内蔵され、比較的長時間の放送の記録を可能とした機器も出現している。 【0004】 この様に、記録するデータが大容量化すると記録メディアが機器に内蔵固定されていて容易に交換出来ない場合、容量が不足してしまい新たなデータを追加記録できなくなるといった不都合が生ずるようになった。そのため、記録容量を増やすために媒体自体の記録密度を向上させる努力と同時に、記憶装置の実装台数を増やすと言った方式が採られている。 【背景技術】 【0005】 この様な要請に対し、複数台のハードディスクを実装し駆動出来る様にする一方、容量が一杯になったハードディスクを別の新しいハードディスクに交換できる様配慮したハードディスク取り付け装置などの提案がなされている。例えば特開平6−309859はハードディスクの機器本体収納装置として、薄型箱状のハードディスクを厚さ方向に多段に取り付け、更に機器前面側から着脱能状態にしたハードディスク取り付け装置が提案されている。 【0006】 このハードディスク取り付け装置はあらかじめ設定された数のハードディスクを内部に組み込める様所定の大きさの金属製収納ケースが設定されている。該収納ケースの内面左右両側には棚状ガイドレールが設けられ、前方よりこのガイドレール上にハードディスクを載置し後方へスライド移動し、背部に設けられた接続用コネクタに対しハードディスク側のコネクタと結合する収容位置まで装着する。その後に装着用開口部を塞ぎハードディスクの飛び出し防止するため押さえの機能を持った板状の部品であるパネルを収納ケースに対し取り付けネジによって固定する構成である。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、上記のハードディスク取り付け装置は内部に実装するハードディスクの台数によって専用の取り付け装置が必要であり、例えば2台取り付る場合と3台の場合では全く別の取り付け装置を用意する必要があり、取り付け装置の所定数以上のハードディスクは簡単には増設することが出来ない。 【0008】 又、既に挿着されているハードディスクの容量が一杯になった場合、乃至はハードディスクが故障してしまったなどで交換を要する場合、ドライバーなどの工具を用意し取り付け装置前面にビス止めされているパネルを外してからハードディスクをレールに沿って引き出すといった面倒な作業が必要である。 【0009】 更に複数のハードディスクを取り付た場合で、取り付けスペースを少なくするため隣接して取り付たハードディスク間を狭小に設定している場合など、取り外しの際に間に指などの引っ掛かりがとれず、先ず最初に一番外側に位置し取り外しが容易なハードディスクを外してからでないと目的のハードディスクを取り外せないという不都合も生じる。 【0010】 したがって取り付けスペースは大きくなるものの、隙間をあけて取り外し操作性を優先させるか、又はその逆の構成でどちらかが犠牲にならざるを得なかった。 【0011】 そこで本発明は、上記課題を解決した取り外しが出来るよう考慮されたハードディスク等の記録媒体用ソケット装置を提供するために為されたもので、複数のソケットを積層状に密着実装した薄型構成が可能で、互いの位置を精度良く整然とした取付が出来ると共に複数のソケット装置であっても機器本体に取付る場合、少ない締結部品で容易に行うことが出来る。またハードディスクの取付取り外しにドライバーなどの工具を必要とせず、簡単に出来るばかりか、複数のソケットに装着した複数のハードディスクを順序規制なく取り出せる様にしたソケット装置を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明は以下の如く手段によって課題解決を図る。即ち、 互いに平行な二面を有する箱状のソケットの第1面側に外方に向けて突出した位置規制突起と、該第1面と対向面の第2面側の同位置に該突起と嵌合する穴が穿設された記憶媒体用ソケット装置であって、 前記記憶媒体用ソケット装置が複数個密着状態に積層可能であり、積層された隣同士のソケットの該第1面の突起と該第2面の穴とで互いに位置規制される事を特徴とする記憶媒体用ソケット装置であり、 また、 前記第1面側に突出して設けられた突起と、前記第2面側に穿設された穴のそれぞれが1対である事を特徴とする前記請求項1に記載の記憶媒体用ソケット装置であり。 【0013】 更には、 前記複数積層されたソケット装置の最外ソケット外面に位置する該突起又は穴は、該ソケット装置が装着される機器本体への位置決め手段として用いる事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 装着された記憶媒体をイジェクトし、前記記憶媒体を取り外し可能状態にするイジェクト機構を更に有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 前記イジェクト機構はソケット装置の記憶媒体挿着方向前面に設けた操作部材を手動で操作し記憶媒体取り外し可能状態にするイジェクト機構であることを特徴とする請求項4に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 前記イジェクト機構は駆動源を含み該駆動源の駆動力により記憶媒体をイジェクトさせるオートイジェクト機構であって、該二つ面の側面に該二つの面の延長面より突出しない範囲内に設けられる事を特徴とした請求項4に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 前記イジェクト機構はソケット装置の記憶媒体挿着方向前面に設けた操作部材を手動で操作し記憶媒体取り外し可能状態にする第一のイジェクト機構と、駆動源を含み該駆動源の駆動力により記憶媒体をイジェクトさせる第二のイジェクト機構を有し、該第二のイジェクト機構は該二つ面の側面に該二つの面の延長面より突出しない範囲内に設けられる事を特徴とした請求項4に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 前記ソケット装置の前記第1面または前記第2面の少なくとも片面を、板状の金属材料で実質的に覆うことを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 前記複数積層されたソケット装置の装置間に、振動吸収作用のある弾性部材より構成された薄板状の介在体を介在させたことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 前記複数積層されたソケット装置の装置間に、該ソケット装置のフレーム材料より熱伝導率の高い部材で構成された薄板状の介在体を介在させたことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 前記複数積層されたソケット装置の装置間に、振動吸収作用のある弾性部材と該ソケット装置のフレーム材料より熱伝導率の高い部材との積層材より構成された薄板状の介在体を介在させたことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 前記記憶媒体は、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、カードのいずれかであることを特徴する請求項1乃至請求項11に記載の記憶媒体用ソケット装置であり、 更には、 複数ソケットの該平行な面の同一位置に貫通状態に穿設された穴を互いに位置規制された密着積層状態で、串刺し状に貫通する締結部品により同時に固定する事を特徴とした請求項1乃至請求項3に記載の記憶媒体用ソケット装置における締結固定構造である。 【発明の効果】 【0014】 以上述べたように、本発明のソケット装置は複数の装置を重ねて積層実装させるのに好都合な構造を採用しているので 1.ソケット装置同士が直接密着積層できるので、間に隙間があくといった無駄なスペースがない薄型の構成とする事が出来る。 【0015】 2.互いに位置を規制するピンと穴の嵌合で積層枚数が増えても互いの位置を拘束し合うので精度が良く、複数のソケットを整然と配置出来る。 【0016】 3.ハードディスクの必要に応じてソケット装置の積層枚数を増減してユニット化でき、機器本体へ容易に実装出来る。 【0017】 4.ソケット装置同士を簡単かつ確実に固定する事が出来る。 【0018】 5.積層された複数のソケット装置からハードディスクを取り出す順序は、端のものか外さなければならないと言った規制が無く任意の位置のものから外すことが出来る。 【0019】 6.ハードディスクを取り出すイジェクト機構があるので、ドライバーなどの工具無しで即座にハードディスクを取り外す事が出来、また即座に追加も出来る。 【0020】 7.付加するオートイジェクト機構も、ソケット装置の厚さ内で構成する事が出来るため複数のソケット装置を積層実装しても隣同士の競合などの問題無く用いる事が出来る。 【0021】 8.複数積層したソケット装置と装置の間に挿着した記憶媒体から発生する振動を吸収する部材や、記憶媒体から発生する熱を逃がす熱高伝導部材を介在させることが出来る。 【0022】 などと言った様々な効果を生ずるものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0023】 (実施例) 以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図2は本発明のソケット装置10を実装したPC(Personal Computor)、ビデオデッキなどの電子機器30を示す外観図である。同図においてソケット装置10は互いに重ねられた積層状態で4台電子機器30内部に実装されており、該ソケット装置10に対して着脱可能なハードディスク20を最大4台まで挿着可能とするよう挿着口11が機器前面31に設けられている。4台のソケット装置10、10’、10’’、0’’’のうち最も左に実装されたソケット10にはハードディスク20が装着されていない状態を示し、中央の2つ10’、10’’はハードディスク20が完全に挿着され使用可能な状態、最も右側のソケット装置10’’’はハードディスク20がソケット装置10より取り外し可能状態、乃至はこれから挿着する状態を示している。 【0024】 図10にハードディスク20の外観図を示す。ハードディスク20の外側は略扁平直方体の筐体で覆われ、内部には緩衝材に囲われたハードディスク装置が実装されている。このハードディスク装置には外部からの電子データを記録蓄積し、又記録されたデータを読み出し、外部へ出力するためのインターフェスとなる接続用コネクタ202が筐体の一面に設けられている。又、ソケット装置10に容易にかつ確実に挿着出来るよう後述するソケット装置10に設けられたガイドレールと嵌合するガイド溝201が対向する2つの側面に設けられている。 【0025】 挿着口11はハードディスクが装着されていない状態では、扉12によって開口が覆われ機器内部にゴミ・埃などの進入を防止している。 【0026】 この様な機器との関連を持ったソケット装置10の構造を以下に説明する。図1は図2の電子機器30に実装されるソケット装置10の構成を説明するために単独で取り出した表面側外観斜視図で、図3は更に図1を水平面で180度回転させ裏面側を示す外観図である。 【0027】 図1でハードディスク挿着口11は前述の如く図右端に設けられた扉12で覆われており、ハードディスクが挿入されるとその先端により扉12は押され、長手方向両端に設けられた回転軸121、122を中心として回転し、ハードディスクの挿入先端面によって押され内部に畳まれて収容される。扉12は常時開口を塞ぐ方向にバネなどで付勢されており、ハードディスクがソケット10より取り外されるとバネ力により元の閉状態へと復帰する構成である。回転軸121、122は互いに平行に配置された左右のガイド腕131、132により保持され該ガイド腕部の内側スペース133にハードディスクが装着される空間が形成される。 【0028】 40は押しボタンでソケット装置10に挿着されたハードディスクを指等で押圧する事により外部へイジェクトする為のもので、ソケット内に設けたのイジェクト機構は後述する。更に全体を50で示す構造は、シャーシ501上に設けた駆動源であるモータ502を作動させ電動でハードディスクをイジェクトするオートイジェクト機構であり、詳細は同様に後述する。 【0029】 挿入口11と対向する奥の位置にはコネクタ14が配置され、その前面にはハードディスクの挿入方向前面に設けられたコネクタ(図10の202)と嵌合し電気接続を形成する複数の接続用端子141が配置される。該コネクタの両端は端子141の並びと直角に形成され扉12の方向に延在したガイド腕保持部142、143がコネクタ14のフレームと一体的に形成され、その外側面には左右のガイド腕131、132が固定され互いに平行が確保されている。更に、コネクタ14の左右のガイド腕保持部142、143にガイド腕131、132が取り付いた状態では、これらの3部材の底面はほぼ一つの平面を形成している。これら3部材を跨ぎ該共通底面を覆う状態に金属板状の底板15が固定され全体の強度を保持している。左右ガイド腕131、132の上面134、135は底板15が含まれる面と実質的に互いに平行な面を構成している。 【0030】 コネクタ14の端子部141と対向する背部には外部接続用の複数の端子144が設けられ、プリント基板145の片面に設けられたパッドにより半田固定される。更に該プリント板の反対面にはピン端子コネクタ146及びソケット型コネクタ147が設けられ外部とのインターフェースコネクタとし電気接続に供される。 【0031】 ハードディスクを装着するためのスペース133を囲う右ガイド腕131の内側面136にはスペース133側に突起し互いに対向する位置に凸条ガイドレール138が挿入口11より奥まった位置からコネクタ14のガイド腕保持部142、143へ向けて設けられている。更に該ガイドレール138はガイド腕保持部142のスペース133に面する内側面144に設けられたガイドレール146へと延長された状態に形成される。同様に左側ガイド腕132とガイド腕保持部143のスペース133に面する内側には、ガイドレール138、146と対向位置に同様のガイドレールが形成されている。 【0032】 これら138、146とその対向位置に設けられたガイドレールは図2及び図10のハードディスク20がソケット10へ挿入されたときハードディスクの厚さ面の両側に形成されたガイド201と嵌合し、所定の位置へ精度良く案内されハードディスク20の挿入方向先端に設けられた接続用のコネクタ202と図1に示したコネクタ14と接合し、電気的接続を形成する。特にコネクタ同士が結合する直前では、コネクタ14のフレームと一体的に形成されているガイドレールによってガイド溝201が案内されるので、互いのコネクタ端子同士に不要なストレスが加わらず安定した接続が保たれる。 【0033】 ガイド溝201とガイドレール138、146及びその対向位置に設けられたガイド溝、ガイドレールは各々厚さ方向で中心位置よりずらしてあり、ハードディスクの上面と下面を取り違えて挿入したとき挿入出来ない様考慮されたものである。 【0034】 又ガイド溝201はハードディスク20の挿入方向後端までは形成されておらず挿入方向先端と後端の誤挿入防止機能を果たしている(図10参照)。 【0035】 ソケット装置10の裏面側を表す図3で、前述の如くソケット裏面はほぼ大部分が薄板状の底板15で覆われており、全体の強度を確保する目的で金属板が用いられる。ソケット装置10の内部にハードディスクが挿着され、駆動されたときに内蔵モータや電子回路等から発生する熱をソケット10より外部に逃がす良導熱体としても機能する。更に底板10の電位をグランドレベルに接地し、ハードディスク動作中に内部より生じ近くの電子回路へ伝搬する電気ノイズ、又は逆に外部からのノイズの双方を遮断する機能を持たせることが出来る。 【0036】 この底板15より2つの位置決めピン151、151がソケット装置10の厚さ方向外側に突出している。該位置決めピン151はソケット装置10の表面側を示す図1のガイド腕131、132の上面で位置決めピン151、151と対向する同位置に開けられた2つの位置決め穴139、139と嵌入する寸法関係に設定してあり、他のソケット装置10を同じ位置に厚さ方向に積層密着させて実装したとき互いの位置決めに供する。従って、2つの位置決め穴139の一方は双方の穴中心を結ぶ線上に長手の小判穴であっても良い。 【0037】 図4、及び図5にそれぞれ4つのソケット装置10、10’、10’’、10’’’を同方向に重ねて実装した状態の表側及び裏側から見た図を示し、これらは位置決め穴139、139と位置決めピン151、151により位置規制されている状態である。 【0038】 更に図6を用いて4つのソケットの相互の位置決めと固定がどの様に行われるかを示す。図6(a)はソケット装置10が4つ積層された状態の平面図を示す。図6(b)は図6(a)のA−Aで示した部分より切断した断面図を表し、左右のガイド腕131、132に設けられた入り口が6角形の凹状に形成された固定用貫通穴152、152を用いて複数のソケットが互いに固定される。後述の方式で位置決めされた後、貫通穴152に挿入されたビス60とナット61の締結により固定された状態を示す。ビス60は4つのソケットに設けられた貫通穴を貫通し、対向側から回転阻止のための6角形凹状部に挿入した6角ナット61に対して螺止する形態をとる。 【0039】 更に図6(c)はソケット積層状態の図6(a)をB−Bで示した部分より切断した断面を表し、最も左に位置するソケット装置10の位置決めピン151が右隣のソケット装置10’の位置決め穴139と嵌合し互いに位置規制をしている。更にソケット装置10’の位置決めピン151が更に右隣のソケット装置10’’の位置決め穴139と嵌合し互いに位置規制している。この様に順次隣り合わせ同士が同位置、同方向の位置規制する事で全て4つのソケット装置が一定の位置関係に拘束される。 【0040】 この様に全てのソケット装置10には少なくとも1対の位置決めピン151、位置決め穴139が設けられ、かつ固定用の貫通穴152が穿設されているので、この例で示した4つを積層する場合に限らず2つ以上の任意の数のソケット装置を積層して一体化実装する場合にも容易に行うことが出来る。 【0041】 又、図2で示す如く電子機器30などの内部にこれらの積層ソケットを実装するときは、積層後の厚さに相当する間隔、即ち図6(b)又は、図6(c)の断面図の左側面から右側面までの厚さが入るように左右に取り付け用シャーシを設定し、左側面に位置決めピンに相当する突起を、右側面には位置決め穴に相当する穴を設け位置決めに用いる。更にビス止め固定用の穴を貫通穴152に相当する位置に設け、これを利用して貫通するビスで固定する。 【0042】 または予め設けてある取り付け用のセルフタップビスの下穴が穿設された取付ボス131a、132aを利用して取付ても良い。これらの取付ボスは合成樹脂材料で出来た左右のガイド腕131、132の側面から一体に突出して形成されている。 【0043】 オートイジェクト機構50はソケット装置10の厚さ内で構成されているので、図4、図5の如く積層され状態を示すソケット装置であっても隣同士が競合無く積層出来るように設定してある。 【0044】 これらの断面構造図で解るように、ガイド腕131、132の上面と底板15が密着状態に接しているので、限定されたペース内に収容するのに適した薄型実装とする事が出来る。 【0045】 更に複数のソケット装置10を密着実装させ、その内部にハードディスクを挿着し稼動させたときに生ずる振動、発熱などの対処法について説明する。 【0046】 ハードディスクは内部に設けたディスクを高速回転させ、ディスク表面の磁性体に対し近接して移動するヘッドにより書き込み、読み出しを行う。その為ディスク回転時に生ずる振動が隣接するソケットから機器への取付部へ伝わり、耳障りな騒音として機器外部へ放出される事がある。挿着されている複数のハードディスクが同時に稼動すると更に大きな振動音として放出されることになる。図7(a)、(b)は、図6(a)のそれぞれA−A、B−B位置より切断した断面図を示し、ソケット装置間に板状の中間介在体70を介在させて振動を吸収させたものである。中間介在体70の材料は振動を吸収するゴム等の弾性部材で周波数、振幅により適宜の硬度、厚さのものを使用する。中間介在体70の厚さが位置決めボス151の高さより厚いものが必要なときは、中間介在体70に位置決めボス151が嵌合する穴及び外穴の裏面に位置決め穴139と嵌合する突起を設ける。 【0047】 また、ハードディスクに内蔵されているディスク回転用モータないしは内蔵電気素子からの発熱が蓄積するのを防止するために、熱伝導性の良い材料で中間介在体70を構成すれば高温によるディスク表面の磁性体劣化の危険を少なくすることが出来る。この機能を有する中間介在体70の材料としては、アルミ、銅、高熱伝導グラファイトなどがある。 【0048】 また、ソケット装置のユニット最外面には輻射放熱特性の優れた軟鋼、ステンレススチール、亜鉛メッキ鋼板などが良く、表面に艶消しの黒色被膜を施すと更に特性が向上する。 【0049】 また、振動と発熱の双方を押さえるために、上記の材料を積層し一枚の板状にした複合機能を有する中間介在体70としても良い。 【0050】 次に本ソケット装置10のハードディスクのイジェクト機構について、構造を明らかにするため一部分を除去した図8、図9を用いて説明する。 【0051】 図8は押しボタン40が操作されていない状態即ち、ハードディスクが挿入されていないないしは、完全に挿入された状態(ハードディスクは不図示)を示す斜視図である。押しボタン40は幅狭の矩形状のレバー41に固定されている。レバー41はスラスト方向のみが移動自由にガイド腕132内でガイドされ、バネなどで常時図の右方向に付勢されている。レバー41の先端411はコネクタ14の近く迄延在し上方に突起しており、回転板42の端部421と当接している。 【0052】 先端411の近くには水平方向直角に外方へ屈曲したオートイジェクト作動レバー412が形成され、その先端には加締軸が固定される。該加締軸にはコロ413が回転自在に取り付けられており、止め輪によって抜け止めが施されている。 【0053】 該作動レバー412の付け根部とレバー先端411の突起の間の凹部に前述の回転板42の端部421が狭持されている。回転板42は回転中心422を中心に底板15の上面で回転するようバーリング加工等で加工した中空の突起軸を下方に突出させ、底板15に穿設されたの穴と嵌合し回転自在に係止される。 【0054】 回転板42の更に上面にはスライド板43が面しており両端を左右のガイド腕131、132の溝にガイドされることにより、面方向に左右の平行移動可能な構造になっている(図8では一部破断除去した図を示す)。スライド板43の一部は回転板42の作動部423を挟む状態に板厚分を隙間にして折返した折返し部431が設けられており、回転板42が回転中心422を中心に図の時計方向に回転すると、作動部423により該折返し部431が押圧され、スライド板43は図の右方向にスライド移動する。スライド板43の左端にはコネクタ14の両側に設けられた切り込み部に延在し、上方に屈曲した1対のイジェクト作動部432、432が設けられ、該イジェクト作動部によりハードディスクがイジェクトされる事になる。 【0055】 ソケット装置10のイジェクト状態を図9に示す。手動操作によってソケット装置前面に設けられた押しボタン40を手動操作する事によりレバー41が図の左方向に移動し、回転板42が回転中心422を中心に時計方向へ回転し更にスライド板43は右方向にスライド移動し、イジェクト作動部432によって外部へとイジェクトされハードディスクがソケット装置より取り出し可能状態となる。 【0056】 スライド板43の移動量は概略20〜30mm程度に設定すれば、ハードディスクの重心は内部にのこるので図2に示す電子機器30から飛び出さず、突出した部分をつかみ機器より容易に取り出す事が出来る。 【0057】 この状態で、押しボタン40の操作をやめると、図示しない前述の復帰バネによりレバーが図8の位置へ戻り回転板42も同様に図8の位置へ戻るが、スライド板43には復帰する力が働かないのでこの位置に停滞する。しかし再度ハードディスクが挿入されたときは、イジェクト作動部432が逆にハードディスクの先端によって押され図8の位置へと運ばれる。 【0058】 更にもう一つのイジェクト機構であるオートイジェクト機構について説明する。 【0059】 図8の全体を50で示す構造はオートイジェクト機構を示し、ガイドガイド腕132の側面に取り付けられた小型のシャーシ501上に設けられている。502はシャーシ501に固定されたDCモータで動力源として用いる。該DCモータ502に直流電圧を印加する事で回転軸が回転し軸に圧入されたウオーム503が回転する。504はシャーシに加締められた軸に回転自在に挿入され下段が前述のウオーム503と噛合うウオームホイール505、上段に小歯車506が形成されたウオームホイール歯車でこれら二つの要素が合成樹脂材料などにより一体に形成され、モータ502の回転を次に噛合う大歯車508に回転速度を減速しトルクを増加させて伝える為に中間に用いられている。 【0060】 507はカムギアで下段に前記小歯車506と噛合う大歯車508が、上段にカム509が一体部品として形成されており、同様にシャーシ501に加締められた軸に挿入され回転自在に保持されている。カム509はDCモータ502が駆動されると回転軸を中心に時計方向へ回転するように設定されている。カム509の被作動物が接触するカム面は回転するに従いカム回転中心に対し漸次遠ざかり、1回転で再び元の最近接位置へと戻る形状を有している。図8の初期位置、即ちハードディスクが完全に挿入されている(ハードディスクは不図示)位置では被作動物であるレバー41のオートイジェクト作動レバー412に取り付けられたコロ413とカム回転軸に最も近接した位置で接触している。 【0061】 この位置からモータ502に通電し回転させると前述の駆動力伝達機構によりカム509が時計方向に回転し、カム面と接触しているコロ413は軸から遠ざかる方向へ変位し、従って押しボタン40が操作された時と同様にレバー41が図の左方向へ移動する。 【0062】 図98は更にカム509の回転が進行しコロ413がカム509回転軸から最も遠ざかった位置に変位した状態である。該位置ではスライド板43のイジェクト作動部432、432が最も挿着口11側に位置し、この変位ストロークによりハードディスクをイジェクトした状態である。 【0063】 オートイジェクト機構50は図8におけるソケット装置上面である134、135で示した左右ガイド腕の上面の延長面と、底板15の下面の延長面とで挟まれる領域内に収まる構成なので、ソケット装置10を位置決めピン151、位置決め穴139を嵌合させて複数積層状に密着実装させても隣合わせのオートエジェクト機構50が互いに競合する事はない。 【0064】 ソケット10のイジェクト機構は、ソケット装置のハードディスク挿着方向全面に設けた押しボタン40を操作する事でレバー41を作動させハードディスクをソケット装置より取り外し可能状態にする所謂第一の手動イジェクト機構と、先に説明した第二のイジェクト機構であるオートイジェクト機構の双方を矛盾無く選択的に使用出来る。その使い分けは例えば通常はオートイジェクト機構はハードディスクが読み書き中以外の時にのみ作動可能にし、作動を制御する駆動システムが何らかの不都合により作動しなくなってしまった場合に、非常取り出し用として押しボタン40を操作してハードディスクを取り出すようにすると良い。その場合押しボタン40は意図的に指では操作しづらい様、小さなものにするとか、ソケット装置前面よりやや後退した位置に配置すると良い。 【図面の簡単な説明】 【0065】 【図1】本発明のソケット装置の構成を示す外観図 【図2】本発明のソケット装置を実装した電子機器を示す外観図 【図3】本発明のソケット装置裏面側を示す外観図 【図4】4つのソケット装置を積層させた時の外観を示す斜視図 【図5】4つのソケット装置を積層させて裏面側より見た外観斜視図 【図6】(a)4つのソケット装置を積層させた時の固定構造と位置決めを示すための断面位置を示す平面図、(b)積層ソケット装置の図6(a)のA−A位置より切断し、固定構造を示す断面図、(c)積層ソケット装置の図6(a)のB−B位置より切断し、位置決め構造を示す断面図 【図7】(a)積層ソケット装置の装置間に中間介在体を介在させた時図6(a)のA−A位置より切断し、固定構造を示す断面図、(b)積層ソケット装置の装置間に中間介在体を介在させた時図6(a)のB−B位置より切断し、位置決め構造を示す断面図 【図8】ソケット装置のイジェクト機構初期位置を示す部分断面を施した外観斜視図 【図9】ソケット装置のイジェクト機構イジェクト位置を示す部分断面を施した外観斜視図 【図10】ハードディスクの外観を示す斜視図 【符号の説明】 【0066】 10、10’、10’’、10’’’ ソケット装置 11 挿着口 12 扉 14 コネクタ 15 底板 20 ハードディスク 30 電子機器 40 押しボタン 41 レバー 42 回転板 43 スライド板 50 オートイジェクト機構 60 ビス 61 ナット 70 中間介在体 121、122 回転軸 131、132 ガイド腕 133 内側スペース 134、135 ガイド腕上面 138 ガイドレール 139 位置決め穴 141 接続用端子 142、143 ガイド腕保持部 151 位置決めピン 152 貫通穴 201 ガイド溝 202 コネクタ 413 コロ 432 イジェクト作動部 501 シャーシ 502 モータ 509 カム
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【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
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【出願日】 |
平成16年4月1日(2004.4.1) |
【代理人】 |
【識別番号】100090538 【弁理士】 【氏名又は名称】西山 恵三
【識別番号】100096965 【弁理士】 【氏名又は名称】内尾 裕一
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【公開番号】 |
特開2005−293747(P2005−293747A) |
【公開日】 |
平成17年10月20日(2005.10.20) |
【出願番号】 |
特願2004−108682(P2004−108682) |
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