87件のうちわずか2.3%。07年度に県立中央病院で腹部に穴を開けてチューブで胃に栄養を送る方法(胃ろう)をとった患者のうち、本人同意があった割合はそれほど低い。胃ろうを行う要因の8割は脳卒中と認知症。同病院総合診療科医長の今田敏宏さんは「本人に聞けず、家族に尋ねても、『話したことがなく、本人がどう思っているのか分からない』と言われることがよくある」という▲別のある病院のデータでは、口から食べられなくなった患者の平均生存期間は▽簡単な点滴のみ2カ月▽中心静脈栄養8カ月▽胃ろう等の経管栄養1.5年。簡単な点滴のみだと老衰で亡くなるが、経管栄養では9割の死因が肺炎という。どれを選ぶかで最期の瞬間は全く異なってくるのに、本人に代わって家族がそれを決めるのは大変なことだ▲臓器提供の話とも共通するが「もしもの時」の希望は家族には聞きづらい。20代の自分自身に関しては現実感もない。まだまだ先の話。そんな考えを捨てるところから始めたい。【細谷拓海】
毎日新聞 2010年9月1日 地方版