沖縄県の尖閣諸島の日本の領海内で、中国の漁船と海上保安部の巡視船が衝突し、漁船の中国人の船長が逮捕された事件で、那覇地方検察庁は24日、船長を処分保留のまま釈放することを決めました。釈放の理由について那覇地検は「わが国の国民への影響や日中関係を考慮すると、これ以上身柄を拘束して捜査を継続することは相当でないと判断した」としています。船長は今後、手続きが済みしだい釈放され、中国へ送還されることになります。
これは那覇地方検察庁の鈴木亨次席検事が24日午後、記者会見して明らかにしたものです。この事件は今月7日、沖縄県の尖閣諸島にある久場島の北北西の日本の領海内で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突したもので、漁船の船長の*セン其雄容疑者(41)が立ち入り検査を妨害するため、故意に漁船を巡視船に衝突させたとして公務執行妨害の疑いで逮捕されたものです。海上保安庁は、セン船長を逮捕し、調べを進めていましたが、那覇地検は24日、船長を今月29日のこう留期限を前に処分保留のまま釈放することを決めました。那覇地検は、処分に保留した理由として「衝突された巡視船の損傷の程度が航行ができなくなるほどではなく、けが人も出ていない。船長は一船員であり、衝突に計画性が認められない」としました。そのうえで「わが国の国民への影響や、今後の日中関係を考慮すると、これ以上船長の身柄の拘束を継続して捜査を継続することは相当でないと判断した」と述べました。また那覇地検は「船長に確認すべきことがあるため釈放の手続きには時間を要する」としています。船長は手続きが済み、釈放されしだい中国へ送還されることになります。*「セン」=「擔」のつくりの部分の文字