2010年9月24日13時41分
行政代執行により、公園内に残された生活用品などを撤去する作業員ら=24日午前10時6分、東京都渋谷区、遠藤啓生撮影
宮下公園の前に設置されたゲートを挟んで、区職員らに詰め寄る反対派の人たち(左)=24日午前11時12分、東京都渋谷区、遠藤啓生撮影
東京都渋谷区の渋谷駅近くにある区立宮下公園の命名権(ネーミングライツ)を取得したスポーツ用品メーカーの費用負担で整備する施設の着工に向け、同区は24日、公園内のテントなどを強制撤去する行政代執行を始めた。民間企業がかかわる施設整備をめぐって、自治体が行政代執行に踏み切るのは極めて異例だ。
宮下公園は渋谷駅近くのJR山手線沿いに1948年につくられた約1万平方メートルの細長い公園。
この日午前10時、区の土木部長が「違法占有物件の除去に着手します」と代執行の宣言文を読み上げて、区職員数十人や警察官らを動員した撤去が始まった。これに反対するホームレスの人たちの支援団体らの約30人が公園前に座り込むなどして区側に抗議したが、区側は、この日中に占有物80件あまりを撤去する予定だ。
区は昨年8月、スポーツ用品メーカーのナイキジャパン(品川区)にこの公園の命名権を年間1700万円、10年契約で売却した。区は財政負担せず、ナイキが約4億円をかけて公園を改修し、通称「宮下NIKE(ナイキ)パーク」として、スケートボード場や、ロッククライミングが体験できるスポーツ施設を整備する計画がある。施設は、ナイキが区に寄付する。
公園の整備計画は07年11月、桑原敏武区長が区議会で「民間活力を導入する方法を検討中」と明らかにした。昨年8月にナイキと協定した時には昨年9月に着工し、今年5月の施設オープンを目指していた。
しかし、当時、園内にいた約30人のホームレスを自立支援施設などに移すのに時間がかかったうえ、「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」などの団体が公園内にテントや自転車を持ち込むなどしたため、区側も着工を見合わせてきた。