◇秋場所<11日目>
(22日・両国国技館)
横綱白鵬(25)=宮城野部屋=が阿覧を上手投げで下し、連勝を58に伸ばした。琴欧洲が白馬の注文にはまって1敗が消え、把瑠都も鶴竜に敗れて3敗へ後退。白鵬自身初の4場所連続優勝へ大きく前進した。大関かど番の魁皇(38)=友綱部屋=は日馬富士を逆とったりで破り、白星が先行した。
横綱があっさりと新関脇を連破して、連勝を58に伸ばした。前日の栃煌山に続き、阿覧にもさっと右四つになり、左上手をつかむと間髪を入れずに上手投げ。それでいて変化もあるくせ者に対し「頭にあったので、いつもより少し見ながら立った」という万全の内容だ。
1敗の琴欧洲が敗れ、他の力士とは早くも2つの星の差がついた。もはや土俵上に敵無しの横綱が挑むのは、過去の大横綱たちだ。大正時代に56連勝をした第22代横綱太刀山に続き、明治時代に58連勝をした第15代横綱初代梅ケ谷に並んだ。「あ、そうなの。常陸山のライバルだったおなかの大きい人?」。白鵬は第20代横綱の2代目梅ケ谷と勘違いしていたが興味津々。来場所初日には、江戸時代に63連勝した第4代横綱谷風に並ぶと聞かされ「そうなればいい。話題になるからね」と意欲を見せた。
年間最多勝確定最速タイ記録も可能性が高まった。勝利数2位の把瑠都が3敗目を喫したため、直接対決が予想される13日目に60連勝で今年70勝目を達成すれば、把瑠都が残りを全勝しても上回れない。秋場所13日目の決定は、2005年の朝青龍に並ぶ快挙になる。
2場所ぶりに賜杯が抱ける16回目の優勝がぐんと近づいたが、昭和−大正−明治−江戸と、大相撲の歴史をさかのぼり続ける横綱に気の緩みはない。「千秋楽まで取り切ること」と力強く言い切った。 (田中一正)
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