【ソウル西脇真一】北朝鮮の最高人民会議常任委員会は23日付の政令で、対米交渉や核問題など同国の外交に長くかかわってきた姜錫柱(カンソクチュ)第1外務次官(71)を副首相に、後任に北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の同国首席代表、金桂冠(キムゲグァン)外務次官(67)を任命した。朝鮮中央通信が伝えた。金正日(キムジョンイル)総書記の後継体制づくりが急務となる中での2人の昇進は、外交の強化を図る狙いがあるとみられる。
また、初代駐英大使を務めた李容浩(リヨンホ)外務省参事が金次官の後任に任命された。同通信は、人事の背景や6カ国協議首席代表の後任について言及していない。
北朝鮮は28日に朝鮮労働党の代表者会を開催予定。会議を機に金総書記の三男正銀(ジョンウン)氏への権力継承が本格化するとの見方が強い。継承を安定的に進めるためにも米国をはじめとする対外関係の改善が必要とされている。
86年から第1外務次官就任が明らかになった姜新副首相は、金総書記の最側近の一人。93~94年の北朝鮮核開発疑惑をめぐる米朝高官協議で首席代表を務め、朝鮮半島エネルギー開発機構による軽水炉導入に力を発揮した。金新第1外務次官は95年から外務次官を務め、核やミサイル問題で米国などと交渉にあたってきた。
毎日新聞 2010年9月24日 東京朝刊