魁皇逆とったり！白鵬にも「勝ちたい」…秋場所１１日目

日馬富士（右）を逆とったりで破る魁皇

　◆大相撲秋場所１１日目　○魁皇（逆とったり）日馬富士●（２２日・両国国技館）　カド番の大関・魁皇が大関・日馬富士を逆とったりで倒し、カド番脱出へあと２勝とした。３８歳は８８年春の初土俵から２３年目初の決まり手で６勝目を挙げた。連勝を５８に伸ばした横綱・白鵬と１２日目に対戦する。同期入門の貴乃花親方は魁皇が横綱の連勝をストップすることを予告した。強力なエールを背に最強の横綱に挑む。大関・琴欧洲が敗れて、１敗がいなくなった。全勝の白鵬を追う２敗は琴欧洲と平幕の嘉風、豪風の３人。

　左腕一本で魁皇が生き残った。日馬富士に左腕をたぐられ強烈なのど輪で追い込まれた。「攻める気持ちだけはあった」。絶体絶命のピンチを救ったのは勝利への執念だけだった。

　両腕で敵の胸を押し返す。土俵際でもつれると最後は左腕一本で逆とったりだ。魁皇が見せたまさかの技に日馬富士の１３０キロの体が風車のように宙を回転した。２３年目で初の決まり手となった逆とったり。「もつれる間に相手が落ちた感じでよく覚えていない」。初土俵から１０１２勝目は無我夢中でつかんだ白星。

　６勝５敗と白星が先行した。過酷な大関戦を２勝１敗と驚異的な粘りで切り抜けた。１２日目はいよいよ全勝の白鵬に挑む。５８連勝の横綱とカド番の大関。圧倒的不利な状況に熱いエールが飛び出した。同期入門の貴乃花親方だ。審判部長として土俵下からベテラン大関を見つめる親方は「電光石火の左四つがあるし右上手をつかめば強いもん。分からないですよ」と、満面の笑みで魁皇が連勝をストップすることを予告したのだ。魁皇も「相手が誰かとか考えずに前に出る相撲を取りたい」と闘志をかき立てた。

　土俵に懸ける熱い気持ちは場所中に師匠の友綱親方（元関脇・魁輝）に伝えていた。体調を気に掛けた師匠へ「今は一生懸命、一番一番を取りたい」と返答したという。「本人がまだ、やりたいという気持ちがある。今は頑張れるだけ頑張れとしか言いようがない」と師匠。たとえ途中で負け越しても千秋楽まで取り切る覚悟だ。

　場所中に痛めた右ひざは連日の針治療などで回復してきた。運命の白鵬戦。「勝ちたい」と魁皇。３８歳の奇跡を見たい。