手のひらサイズのX線発生装置 京大教授らが開発
京都大工学研究科の河合潤教授のグループが、手のひらサイズのエックス線発生装置を開発し、22日に発表した。市販のエックス線検出器などと組み合わせ、小型で安価な元素分析装置として用いることができるという。
発生装置は長さ5センチ、直径3センチのガラス管の中に、携帯電話の電波フィルターに使うタンタル酸リチウムを電極として設置した。電極の温度を室温から70度の間で変化させると、電極間に80キロボルトの高電圧が生じ、片方の電極に接するように置いた試料からエックス線の発生を観測した。電極の温度変化は、弱い電流で温度を変える素子で調節し、電源には乾電池を用いた。
このエックス線発生装置に、エックス線検出器や真空ポンプを組み合わせることで、元素分析が可能になる。従来の元素分析装置は、エックス線を発生させるために大型の電子銃を用いており、装置全体で1メートル四方以上のサイズが多い。
今回のエックス線発生装置は数千円で製作でき、従来の50分の1以下の100万円以下で元素分析装置を組むことができるという。河合教授は「本格的な分析装置と比べると元素の検出能力は劣るが、野外での土壌などの元素分析や、教育用にも使える」と話している。
【 2010年09月23日 15時18分 】