学習塾と学校、競争の有無が生む「違い」とは(下)

 外国語領域のスター講師として知られるE学院のキム代表(43)は、英語読解の講義を行う際、意味を教えるだけでなく、それに関連した時代的背景なども説明し、受講生の関心を引き出す。指導を受ける側が興味を持たなければ、講義に集中させるのは難しいからだ。キム代表は受講生たちが退屈しないよう、ビートルズの歌を歌ったり、有名な演説を活用して講義を行うことでも有名だ。さらに、この塾では講師たちが年末に受講生を招待し、自費で奨学金を与えたり、ミニコンサート・イベントを行うなどして、受講生たちとのコミュニケーションにも力を入れて取り組んでいる。京畿道で塾を経営し、自らも講師を務めるパクさん(30)は、「塾の講義が終わると、保護者に“(子どもたちが)今から帰ります”というメールを必ず送る。受講生と親しくなるために送るメール代だけでも、毎月20万ウォン(約1万4000円)から30万ウォン(約2万2000円)はかかる」と述べた。

 中高生が学校に比べて塾での体罰に寛容な理由も、講師が自らの顧客でもある受講生の人格を尊重し、信頼を得ているからだ。塾講師のハンさん(26)は、「体罰を行う際には、行う方も受ける方も、互いを信頼していなければならない。ところが頭をつき合わせてまともに生徒と話をしたことのない教師が、突然体罰を加えたとなると、教師への不信はどんどん深まってしまう」と指摘する。

 「教師は学校で人格教育を強調する一方で、当面の大きな問題である入試の準備は怠っている。それが、生徒たちから信頼を得られない理由の一つ」と、塾講師たちは指摘する。教師は入試に関する情報に意外と疎いため、不安を感じる生徒たちは予備校に頼らざるを得ないのだ。

 講師たちは、学校でも競争システムを導入すべきと強調する。慶尚南道蜜陽で塾を経営するクさん(55)は、「教師は資格もあって能力も十分なはずなのに、その多くが順調に昇進して楽に生活することに慣れてしまっている。そのため、有能な教師として認められる必要性をもはや感じなくなる」「塾は受講生の数によって講師の収入が決まる。同じように、学校でも高学年を担当した教師には給与を多く与えるなどの差をつけることによって、教師たちの姿勢も変ってくるのではないか」と語る。さらに「そうすれば、教師も別の優秀な教師の影響を受け、校内に研究する雰囲気が形成されるだろう」「教育者としての権威は自動的に与えられるものではなく、生徒たちから認められて初めて手にするものだ」などと指摘した。

特別取材チーム

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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