試合後、父の豊蔵さん(左)にねぎらわれ涙を見せる河野公平
「WBC世界Sフライ級王座決定戦」(20日、さいたまCA)
同級1位・河野公平(29)=ワタナベ=が、同級2位トマス・ロハス(30)=メキシコ=に大差判定負けし、王座獲得はならなかった。
◇ ◇
河野が土壇場で意地を見せた。最終回1分半過ぎ、ロハスをコーナーに追い詰めると右フックから連打を浴びせてダウンを奪った。「わざと打たせて思いっ切りいった。手応えもバッチリ」。相打ち作戦がズバリ当たり、館内も奇跡の逆転KOを願って騒然とした。だがトドメの1発が出ず、世界の夢は砕け散った。
11回まで最大11ポイント差の劣勢。タイミングをずらすように前に出て手数を出すが、パンチが当たらない。ビッグネームと対戦してきた元暫定王者はやはり超一級品で「レベルが違ううまさがあった」と言う。バランスのいい動きで突進を封じ込まれ、逆にボディーを攻められた。
2年前にWBA王者・名城信男(六島)に挑戦してきん差の判定負け。今回はフィジカル面を鍛え、高橋智明トレーナーと10年間の集大成となるリベンジ戴冠を期したが、結果は無情。体をケアしてくれた整体師の父豊蔵さんの期待に報えず、悔いも残る。引退問題には「自分だけの問題じゃない。今は何も言いたくない」と、先送りにした。
(2010年9月20日)