「中日3‐0阪神」(21日、ナゴド)
ナゴヤドームはやはり鬼門だった。竜虎決戦第1ラウンド。阪神のダイナマイト打線が中日先発・チェンに8回無得点、救援陣も打ち崩せず完封負けを喫した。鬼門で4連敗、今季1勝9敗となり、中日戦のシーズン負け越しが決まった。しかし終わったわけではない。きょう、あすと連勝すれば5年ぶりVははっきりと見えてくる。あきらめるにはまだ早い。
◇ ◇
この地では虎の牙が抜かれてしまう。自慢の強打が影を潜める。勝てばマジックが点灯した1戦。だが終わってみれば、落合竜に再び2・5ゲーム差に引き離され、もう後がない窮地に追い込まれた。「点が取れなかったのがすべて」。試合後の真弓監督は声を振り絞った。0点では勝てはしない。わずか5安打では、相性が悪いナゴヤドームで歓喜に浸れない。
絶好の先制チャンスを逃したことが悔やまれる。初回だ。先頭のマートンが右中間二塁打を放つ最高のスタート。だが後が続かない。平野はバント失敗の後、遊飛に倒れて走者を進められず。鳥谷も、新井四球を挟んでブラゼルも凡退して、ノドから手が出るほど欲しい先取点を奪い損なった。「初回に1点でも入ればね」と、指揮官も少し語気を強めた。
その後もチェンを攻略できない。三回2死一、二塁では新井が、六回1死一塁ではブラゼルが快打を放てず。浅尾に代わった九回も新井の一打で無死二塁と最後の抵抗を試みたが、後続が絶たれて無得点。チェンと相性がいい大和の先発起用も実らない。これでナゴヤドーム4連敗。ここでは今季1勝9敗。またもや「鬼門」に屈し、中日戦の負け越しも決まった。
とにかくここでは打てない虎になる。ナゴヤドームでの今季チーム打率は・199。リーグトップのチーム打率・290を誇る強力打線が途端に力をなくす。悪い流れを払しょくするため、従来と道順を変えて球場入りした。三塁ベンチの片隅には塩も盛られた。だがホームが、勝利が遠い。
やはりこの地では勝てないのか。だがこの期に及んでそんな弱音を吐いていられない。勝つしかない。打つしかない。何が何でも落合竜に苦杯をのませるしかないのだ。逆転Vをこの手につかむためには第2戦からの連勝、それしかない。
「まだまだ。何言ってるの?まだまだ」
置かれた苦況を問われた真弓監督は、一笑に付すかのようにこう言った。絶対にあきらめない‐。そんな強い意志、覚悟を指揮官は最後に示した。連勝すれば、状況は一変する。虎よ、今こそ牙を剥(む)く時だ。奮い立ち、落合竜を打ち砕こう。全員の手で「奇跡」への扉を開いてみせよう。
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