【コラム】フランスがドイツに勝てない理由(下)

 2008年の世界的な金融危機で、企業が生産削減、労働者の解雇に踏み切った際、フランスの労働者たちは経営者を人質に取り、既得権益を守った。これに対し、ドイツの労働者は給与カットにつながる労働時間短縮に同意し、ワークシェアリングで対応した。

 ドイツはサービス業の自由化で、商品の流通段階を縮小し、食料品価格の上昇を抑制したが、フランスは流通構造が複雑で、食料品が上昇を続け、庶民は暮らしていけないと悲鳴を上げている。

 フランスの「高コスト」体質は、企業の競争力低下につながり、ドイツとの国家間競争で後れを取る要因となっている。欧州全体の輸出額にフランスが占める割合は過去10年間で16.8%から13.2%へと低下した。

 金融危機の当時、フランスは優れた社会保障制度のおかげで、対処能力があると主張したが、高コスト構造は企業の投資を鈍らせた。その結果が高い失業率だ。現在フランスの失業率(9.9%)はドイツ(7.0%)よりも高い。

 サルコジ大統領は2007年の大統領選で、「もっと働き、もっと稼ごう」と呼び掛けたが、口だけで実践を伴わなかった。最近は再選を意識し、改革よりもロマ人追放などポピュリズムに走っている。このままではドイツとの差がさらに広がるのは明らかだ。フランス国内からも「フランスの経済モデルは国民を危機から守るのではなく、成長から守る(?)システムだ」という嘆きが聞かれる。フランス経済の没落を目にすると、韓国経済が進むべき道はよりはっきりしてくる。

パリ=金洪秀(キム・ホンス)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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