ＳＭＡＰ上海公演延期…漁船衝突事件余波

　ジャニーズ事務所は２１日、人気アイドルグループ「ＳＭＡＰ」が１０月９、１０日に中国・上海体育場で開催する予定だったコンサートを延期すると発表した。尖閣諸島付近で発生した日本の巡視船と中国漁船の衝突事件により、中国での反日機運が高まっていることから、同事務所は「お客様の安全の確保を考慮した」と説明した。チケットは払い戻し。新たな公演日程は再度、スケジュールを調整して決めるという。

　ＳＭＡＰが、日中関係悪化の国際問題にまで発展した事件に巻き込まれた。メンバーも開催を切望していた初の海外公演が、また直前になって“幻”となった。

　１０月９、１０の２日間、現地で最も大きい上海体育場で８万人を動員予定だった「Ｗｅ　ａｒｅ　ＳＭＡＰ！」をめぐっては、チケットを取り扱う「永楽票務」が１８日からチケット販売を一時停止していたことが、２０日になって明らかに。ジャニーズ事務所は、主催者サイドと協議を進めていたが、中国で反日機運が高まっていることの影響を考え、観客の安全面を理由に延期を決定した。上海のプロモーション会社は、延期の理由について「技術的な原因」とだけ説明し、具体的な理由については触れていない。

　ＳＭＡＰは６月にも、上海万博のイベントを予定していたが、無料チケットをめぐる激しい争奪戦が巻き起こることが予想され、安全面の確保が難しいことから、開催１週間前に中止を決定。今回の公演は“リベンジ”だった。

　今月９日には、メンバー全員で東京から上海の記者と電話会見。「最高のライブになる」と、やる気を見せていたばかりだった。衝突事件後の１５日の東京ドーム公演には、中国の程永華駐日大使も駆けつけ、終演後にはメンバーと談笑。記念撮影もしていた。

　チケットは２５日から１０月末までの間に購入先で払い戻しされるという。新たな公演日程は再度、スケジュールを調整して決められる。同事務所は「皆様には、ご迷惑、ご心配をお掛けしますが、ＳＭＡＰそして関係者一同、上海で皆様にお目にかかるのを楽しみにしております」とファクスでコメント。“三度目の正直”を誓った。