内山母・百代さん感涙「たくましくなった」…ＷＢＡ世界Ｓフェザー級戦

２度目の防衛に成功した内山がインタビューを受ける母・百代さん（右）のそばを通って引き揚げる

　◆報知新聞社後援　プロボクシング・ダブル世界戦　▽ＷＢＡ世界スーパーフェザー級タイトルマッチ　○内山高志（５回２分２７秒　ＴＫＯ）ロイ・ムクリス●（２０日、埼玉・さいたまコミュニティアリーナ）　リングサイドで見守った内山の母・百代さん（５８）が「また、たくましくなったような気がする。今はただ、ただ、お疲れさまでしたと、声をかけてあげたい」と目を細めた。

　この日の午前９時ごろ、息子から電話がきて驚いた。「初めて。自分からかけてきたの。『いつもと同じだよ』って。子供の頃を思い出しました」。３兄弟の次男は小学校から帰ってくると「お母さん、お母さん」と連呼して家中探し回ったという。百代さんは決まって「面白いから、私、返事しなかったんです」。あの笑顔は今も変わってない。

　一番のサポーターだ。世界戦のチケットを３５０枚も一人でさばいた。友人、ご近所さん、ともすればタダ、割引になるところを頭を下げて定価で買ってもらった。楽しいこともある。俳優の東山紀之（４３）が同じジムで汗を流している。「東山くんが贈ってくれたシャンパンを２人で飲んだこともあるの。いろんな方に感謝でいっぱいです」。孝行息子のお陰で“役得”も味わった。

　１１月６日は亡き夫・行男さん（享年５８歳）の命日。「来年は七回忌。きっと主人も喜んでる」と百代さん。その母に孝行息子は時計をプレゼントする約束をした。時計の革帯をさすりながら、息子を誇らしげ見つめる母の瞳には涙がにじんでいた。