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◆報知新聞社後援 プロボクシング・ダブル世界戦 ▽WBC世界スーパーフライ級王座決定戦 ○トマス・ロハス(判定3―0)河野公平●(20日、埼玉・さいたまコミュニティアリーナ) WBC世界スーパーフライ級王座決定戦は同級1位の河野公平(29)=ワタナベ=が同級2位のトマス・ロハス(30)=メキシコ=に大差の0―3判定負けで王座獲得はならなかった。河野は前に出て接近戦を挑んだが、足を使って的確にパンチを当ててくるロハスに主導権を握られた。12回、右カウンターでダウンを奪ったものの、ポイントで届かなかった。戦績はロハスが34勝(23KO)12敗1分け1無効試合、河野が25勝(9KO)5敗。
倒せ、倒すんだ。大歓声に包まれた12回。「チャンピオンになるんだろ」。セコンドの高橋トレーナーの声に、河野が勢いよく飛び出した。カウンターの強烈な右フックをロハスの顔面に打ち込んでぐらつかせ、左右の連打でダウンを奪った。8回終了時の採点公開では2人が6点差、1人が8点差。KOだけが勝つ条件だ。残り1分。こん身の連打にもロハスは倒れない。無情のゴング。「ワーッ」と大声で悔しさをはき出した。
「みんな応援しているぞ」。高橋トレーナーが回の合間に見せたのは河野の両親、友人が写った写真。両親はリングサイドで見守り、オレンジのTシャツをそろえた応援団が声援を送った。「こういう仲間のためにも勝ちたかった」。身長で6・2センチ、リーチで3・5センチ上回るロハスの懐に入って接近戦を狙うも、足を使われパンチを的確に当てられた。「負けたんで言葉が出ない。ロハスはうまかった」とうつむいたが、12回には高橋トレーナーと練習を重ねた右カウンターを決めた。「最後のダウンは気持ちよかった」と少しだけ笑った。
高校時代、駅伝のメンバーから外れた時、「6か月でボクサーになれる本」と出会ってジムに電話で入門を申し込んだ。「印象になかった。パンチもスピードがないし」。渡辺会長の目に留まらなかった未経験者は、地道な努力で10年かけて世界の頂点に近づいた。「自分だけの問題じゃないので考えたい」と進退は保留したが、2年前の世界戦で名城に負けた際は応援してくれた人のためにと引退を思いとどまった。「仲間がいてくれたことに感謝」と河野。支えてくれる人のためにも、まだ、グラブは置けない。
◆河野 公平(こうの・こうへい)1980年11月23日、東京・目黒区出身。29歳。中学で陸上を始め、東亜学園高では駅伝選手を目指したが断念。高校卒業後、ワタナベジムに入門し00年11月にプロデビュー。07年7月、日本スーパーフライ級王座を獲得し、同年10月には東洋太平洋スーパーフライ級王座を奪取。08年9月、WBA世界スーパーフライ級王座決定戦に挑むが、名城信男に判定負け。今回が2度目の世界戦だった。166・3センチの右ファイター。独身。
(2010年9月21日06時01分 スポーツ報知)
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