朝鮮学校の教科書記述に問題点　大阪府有識者委が指摘

　高校の授業料無償化をめぐり、朝鮮学校の教育活動を調査していた大阪府の有識者委員会は２２日、教科書に「敬愛なる金正日将軍様」などの政治的に中立でない表記があると指摘し、改善を求める提言を発表した。

　委員会は、文部科学省の専門家会議が判断基準として示した授業時間数や校舎などの設備だけでなく、教科書の内容も調査。「現代朝鮮史」の教科書に、朝鮮戦争や拉致問題など、日本の主張と異なる見解があり両論併記が望ましいと提言。一方「民族教育」は「外国人学校としては当然」と認め、全体的には学習指導要領をおおむね満たす内容と判断した。

　橋下徹知事は「専門的な見地から提言してもらった」と評価。提言を踏まえた学校側からの回答を求め、授業料無償化のための補助金を出すかどうかを検討する。ただ橋下氏は２２日、記者団に、教室に掲げている金正日総書記らの肖像画撤去や在日本朝鮮人総連合会（朝鮮総連）との関係を絶つことなどの条件もクリアする必要があるとの見解を示した。

　府から提言書を受け取った学校法人「大阪朝鮮学園」の李英敏副理事長は「持ち帰って内容を分析する。提言を基にさらに開かれた学校にするよう努力する」と話した。