まずは状況の確認だ。
わかるのはここがどこかの建物の屋上だということ。
そしておそらくは学校なんだろう。
屋上から見下ろすとグラウンドで走っている人がいる。
生徒とおぼしき人間がおそらくは学校指定であろうジャージを着ている。
他にも屋上から何か見たことがあるものがないか見回すがとくいこれといって場所を特定できるものはなかった。
次は自分自身の確認だ。
まず最後の記憶ではおそらくは路上に倒れてたはずだが・・・
「クソ!あいつらめ!」
・・・思い出すだけでも殺意がわいてくる。
だが今はそのことよりも現状把握のほうが優先だ。
だが同時にやはり最初の疑問に至る。
何故俺はここにいる?
あの状況ならてっきり病院のベッドの上ということはあっても、こんなどこかの学校の屋上で寝ている状況にはつながらない。
それともこれは夢だとでもいうのか?
ありえない、こんな現実感のある夢なんてあるはずがない。
もっとも夢じゃないならこの状況は一体何なのか?
・・・情報が不足してるな。
「とりあえず、誰かに聞いてみるか・・・うん?」
その時になって俺は初めて気付いたがどうやら学生服を着ているらしい。
だがなぜ学生服など着ているのか?
それともここの学校の制服なのだろうか?
どちらにせよまずは情報を集めないことには。
そして俺は屋上を後にした。
まず、校舎を見て回っていくつかわかったこと。
第一に自分の制服がやはりこの学校の物だったこと。
まぁこれに関しては良かった。
今は授業中のためなるべく目につかないように行動してるが、休み時間にでもなれば堂々と歩いててもばれることはないだろう。
そして第二に一部の生徒の制服が違うこと。
これに関してはまだ何とも言えないが、ただ授業を受けずにいたところ普通の生徒じゃないことはわかるが、特待生か何かだろうか?
今段階でわかったことはこの程度だがとりあえずここに長居するつもりもないから別にどうでもいい。
といあえずここの場所と今の日付を確認できればあとは放課後まで見つからないように時間をつぶして生徒にまぎれて帰れば問題ないはずだ。
「とはいえ腹減ったし食堂でも行くか・・・」
幸いにして金は多少持っていたので俺は先程校舎を見回った時に見つけた食堂に向かった。
「誰かいるな・・・」
食堂に行くと2人の生徒がいた。
ただ制服が学ランタイプではなくブレザータイプだった。
校舎探索してるときにも何名か見かけたが大半のせいと男子生徒が学ランなのでとりあえずただの生徒ということはないだろうが、どうする?
まぁ別に気にする必要もないかもしれないが、一応今は授業中にも関わらず見た目が一般学生に見える俺が食堂にいることはまずいか?
「別にいいか」
そもそも向こうだって授業中にも関わらずここにいるなら少なくともそこまで模範生というわけでもないだろう。
わざわざ注意を促すとも思えないし。
そこまで考えておれは券売機に向かった。
意外と種類が多くどれにしようか迷った。
とはいえこの先資金調達の面から考えてもあまり高いものも避けたほうがいいだろう。
そう思いおれは一番安いかけそばにし、ボタンを押そうとすると
「おい、お前」
振り向くと先程の2人が後ろにいた。
注意しにきたのだろうか?
「何か用ですか?」
「今は授業中だろ?いいのかここにいて?」
ガタイのいい男が尋ねる。
「小腹がすいたもので何か食べようと思ったんですが、それに授業を受けてないのはあなた達もおなじでしょう?」
言外にお前たちにに注意される覚えはないということを含ませて言った。
「ああ、別に注意しようと思って来たわけではありません。ただその服装とそして様子から何も知らないようでしたので」
眼鏡を抑えながら話すが、一体なんのことをいってるのだろうか?
「何の事を言ってるかわかりませんが、俺はたまたま今日は小腹が空いたから学食に来ただけだ。別にたまには授業さぼったっていいだろう?」
「なるほど、やはりそうか。NPCではなさそうだな。」
NPC?何のことだ?
「ですが、いささか早計では?この程度であればNPCの行動の範疇とも考えられますが?」
さっきから何のことを言ってるんだ?
関わらないほうがいいだろうか?
だが今は情報がほしい。
それにこの状況、眼鏡のほうはともかくもう片方はかなりガタイがいいうえ自分は券売機を背にしてるため強引に逃げることも難しいかもしれない。
ならいっそ
「少し話をしませんか?」
俺は今校長室にいる。
そして目の前の皮張りの高級そうな椅子に座ってるのは本来は学校の主ではなくセーラー服にベレー帽というなんとも言えない格好をした女性が座っていた。
「ようこそ死んでたまるか戦線へ」
そして俺の物語は始まる。