ミャンマー国境長期閉鎖、近く掃討作戦か
ミャンマーの軍事政権がタイ北西部メソトにつながる国境を、7月から一方的に閉鎖し続けています。異例の長期閉鎖。その背景には、軍事政権に抵抗を続ける少数民族の反政府組織の存在があります。
タイ国境の街、メソト。ミャンマーの文字や民族衣装姿が目立ちます。そんな街に今、異変が起こっています。
「ここはタイとミャンマーを結ぶ国境の友好橋です。私の後ろが、タイの出国ゲートになりますが、こちらはオープンしているんですが、その奥のミャンマー側が閉鎖されているため、国境を行き交う車や人は全くありません」(記者)
物流の大動脈となる友好橋を今年7月、ミャンマー側が一方的に閉鎖したのです。市場は閑散とし、タイ側の経済的損失は1日当たり1億4000万円といわれています。
「売上は9割減でとても困ってます。この地域すべてが影響を受けています」(商店主)
一方で、この国境から多くの輸入製品を仕入れるミャンマー最大の都市ヤンゴンでも、家電製品などの値上がりが伝えられています。異例といえる2か月を超える国境の長期閉鎖には、ある背景があるといわれています。
軍事政権が続くミャンマーでは今年11月に20年ぶりとなる総選挙が行われますが、軍事政権幹部が率いる政党の圧勝がほぼ確実な情勢です。そんな中、軍事政権は国境地域を支配する少数民族の武装組織を政府の国境警備隊に組み入れようとしていますが、橋の周辺を支配するカレン族がこれに抵抗を続けているのです。
「(カレン族の)一部は国境警備隊の編入を断っています。たぶん戦闘を含めた衝突が起こるでしょう」(カレン民族難民委員会 ロバート議長)
国境地域では、軍事政権によるカレン族反政府組織の掃討作戦が近く実行されるとみられています。作戦が実行されれば、国境が閉鎖されていても、難民がタイ側に押し寄せる懸念が高まっています。(18日17:48)