【コルドバ(スペイン)】バンク・オブ・スペイン(スペイン中央銀行)は24日、先週末に教会が支配する相互貯蓄銀行カハスールを公的管理下に置き、経営陣を解任したあと、神経質になった預金者を安心させようと努めている。
スペインの銀行資産の0.6%しか持っていない同行の処理は中銀にとって難しくはないだろう。しかし、住宅市場の崩壊で打撃を受けた貯蓄銀行業界の問題に当局が対処しつつあるときにこの問題が重なった。しかも、政府は自身の財政問題でも苦しんでいる。
国際通貨基金(IMF)は24日、スペインの銀行セクターは再編のペースを速め、金融機関の健全性を高める必要があると警告した。IMFは同国への年次訪問を終えたあと、「弱い部分が残っているなら、中銀は速やかに介入の用意をすべきだ」と指摘した。
スペインで「カハ」として知られる貯蓄銀行は同国銀行業務のほぼ半分を牛耳っているが、サパテロ同国首相は最近、45行のうちの過半数は金融危機で非常に弱体化しており、相対的に強い同業者と合併しなければならないだろうと述べた。中銀のオルドネス総裁は、合併を拒否する銀行には介入すると警告している。
しかし相互持ち合いのカハの時代遅れの統治構造がスピーディーな組織再構築を難しくさせている。多くの銀行は各地の政治的有力者が支配しており、彼らは支配権を失うことに抵抗を感じている。実際、いくつかの合併話は地方政府の干渉によって阻止されている。
24日には、カハ・デ・アホロス・デル・メディテラネオなど4行が合併の方針を示したが、合併後も個別の銀行名で業務を続けるとしている。この合併が実現すると、資産額1350億ユーロ(15兆円)、支店数2300の銀行が誕生する。
カハスールの場合は、取締役20人のうち過半数がカトリック教会関係者で占められ、そのうち6人は神父だ。神父の1人が会長を務めている。同行は、延滞した不動産融資を多く抱えて支払い不能になり、中銀から公的管理に置くとの警告を受けていたにもかかわらず、取締役会は21日、人員削減と賃金カットについて意見が一致しないとして、アンダルシアの同業でより規模が大きく、より健全なウニカハとの合併案を拒否する旨、中銀に伝えたのだ。同国の失業率は20%に上っている。
同行の支店では24日、パニックの兆しはほとんど見られなかった。支店幹部らが顧客と接触しており、中銀は公的管理下でも同行の業務は通常通り行われるとウェブサイト上に声明を出した。
カハスールの資産は180億ユーロで、従業員は3000人、支店は約500あり、スペイン南部アンダルシア州に集中している。不良債権比率は約8%で、同国銀行業界でも最悪の部類に属する。