【社会】当直の割増賃金求め提訴 刈谷の女性医師「規定外の分娩、手術」2010年9月22日 09時23分 通常の労働をする必要がない当直中に分娩(ぶんべん)や帝王切開手術などをさせられたとして、刈谷豊田総合病院(愛知県刈谷市)の産婦人科に勤務していた30代の女性医師が21日、病院に割増賃金280万円の支払いを求め名古屋地裁に提訴した。 訴状によると、医師は昨年4月から同9月まで非常勤の医師として、水曜日以外の平日と第1、第3土曜日に勤務。夕方から翌朝まで勤務する宿直を月3〜4回、休日朝から翌朝まで24時間勤務の日直兼宿直を月1〜2回担当した。 厚生労働省は宿直や日直勤務を、巡視や電話の対応、非常事態への備えなど、「ほとんど労働する必要がない勤務」と規定している。同科には約50人の入院患者がいるが、宿直と日直は医師が1人で担当。この医師は1回の宿直で平均1〜2回の分娩を手掛け、緊急の帝王切開手術をしたり、28時間連続で勤務したりしたこともあった。 刈谷豊田総合病院は就業規則で、時間外労働となる深夜勤務は通常の8割増、休日勤務は4割増の賃金を払うと規定。だが宿直、日直にはこれを適用せず、半年の勤務期間中、計84万円の当直手当を払っただけだった。医師は昨年9月末に退職。割増賃金を計364万円と算定し、差額を求めている。 医師は「日本の病院では、こうした勤務状況が当たり前のようにある。問題提起して、勤務医の労働環境改善につなげたい」と話している。 刈谷豊田総合病院の担当者は「訴状を見ておらずコメントできない」と話した。同病院は刈谷、高浜市とトヨタグループ8社が運営している。 (中日新聞) PR情報
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