新家出世代:金もうけに夢中の大人が助長(上)

家を捨てた子供たち

 1年間家出生活を送り、最近家に戻った少女(18)は、産婦人科で性病の治療を受けた。少女は「生活費を稼ぐため、1カ月に30回ほど援助交際をした。痛くて怖くて家に帰ってきたが、母と病院に行くと、淋病と炎症が起きているという診断を受けた」と話した。さらに少女は、「一緒に家出していた友達は、子宮にしこりができ、子宮頸(けい)がんの初期判定まで受けた」と話す。

 今年3月、家出した中学校3年生の少年3人が、弟と二人で暮らしていた小学校6年生の少女Aさんの家に入り込み、そこで暮らしながら、Aさんに性的暴行を加えた容疑で少年院に送られた。少年らは、Aさんが「出ていってほしい」と頼んでも、暴行を続けた疑いがある。

 ソウル警察庁によると、2009年末の時点で、ソウル市内で家出した女子中高生1779人のうち、175人が売春の容疑で補導されたという。これは10人に1人の計算になる。しかし警察は、実際にはさらに多くの家出少女が、売春で生活費を稼いでいるとみている。

 家を抜け出した青少年たちは、大部分が心と体に大きな傷を負う。非行に走ってしまうケースもある。しかし、家出した青少年を家に戻すための対策は、皆無と言ってもいいくらいだ。街へ出た子どもたちは、大人たちの無関心と(金もうけや犯罪のための)ほう助により、今も犯罪の加害者かつ被害者となっている。

穴が開いた青少年の安全網

 家出して再び家に戻った子どもたちは、金もうけにしか関心のない大人が多かったと指摘した。昨年家出したイさん(18)は、「主にチムジルバン(サウナ主体の韓国式健康ランド)で夜を過ごしたが、店の人は未成年者かどうかの確認をしなかった」と話す。公衆衛生管理法では、夜10時から朝5時まで、保護者同伴でない満19歳未満の青少年を出入りさせたチムジルバンの経営者は、6カ月以下の懲役、500万ウォン(約36万円)以下の罰金刑が科されることになっている。

 ほかの法の網もお粗末だ。昨年の夏休みに家出したキム君(17)は、「酒を飲みたくなったら、友達とモーテルの部屋を借りて飲んだ。金さえ出せば、どこも入れてくれた」と話す。青少年保護法では、19歳未満の未成年者同士を、男女一緒に宿泊させた場合に限り、処罰の対象となっているが、宿泊でなければ、未成年者のモーテルへの出入りは自由となっている。

7月20日午後、ソウル市衿川区の衿川青少年保護センターで、家出した青少年たちが園芸教育を受けている。全国77カ所で運営されている青少年保護センターは、家出した青少年たちを一時的に保護し、食事と寝床を提供、相談に乗るとともに、職業訓練も行う。/写真=蔡承雨(チェ・スンウ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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