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【大相撲】

魁皇 九州まであと4勝

2010年9月20日 紙面から

◇秋場所<8日目>

魁皇(右)が寄り切りで徳瀬川を下す=両国国技館で

写真

 (19日・両国国技館)

 かど番大関の魁皇(38)=友綱部屋=は初顔の徳瀬川を寄り切って4勝目、星を五分に戻した。白鵬(25)=宮城野部屋=は旭天鵬を退けて無傷で折り返し、初場所以来の連勝を55とした。琴欧洲も阿覧を寄り切った。嘉風が敗れ、全勝はこの2人だけ。賭博問題で十両に陥落した豊ノ島(27)=時津風部屋=が全勝で勝ち越しを決めた。2度目の満員御礼が出た。

 初顔合わせの徳瀬川に勝った瞬間、満員御礼の両国国技館で大歓声が起こった。「カイオウ、カイオウ」のコール、手拍子。この人気は横綱白鵬も足元にも及ばない。それは外国人出身力士が幅を利かせている中で、日本人を代表するこの大関がどれだけ角界を支えているかが分かる。

 もっとも、史上最多13度目のかど番、38歳の魁皇の満身創痍(そうい)の姿は痛々しい。今場所負け越して、大関の座を明け渡すことになれば「即引退」と公言してはばからない。そんな大関のこの日の相撲。左四つに組み止めて右上手を取って投げで相手を崩し、寄っていった。

 支度部屋に戻ってきた魁皇は例のごとく、付け人に右ひざをアイシングさせながら言った。「相手は右四つだが、自分の四つ(左)にこだわった。自分は左が入ったので、体に任せた。慌てないでね」と魁皇は言った。2回、手を伸ばすと上手が引けた。慌てないでゆっくり前に出ていった。こうなると、成長株の徳瀬川もなんにもできない。

◆気丈に「大丈夫」

 4日目の時天空戦で右ひざを痛めた。5日目の朝げいこの後、痛み止めを打っただけでなく、ひざの水を抜いた。今もひざは思うようにいうことをきかない。先場所の途中休場の要因になった左肩故障も完治にはほど遠い。この日、支度部屋から駐車場に戻るとき、魁皇は「体の痛みはあるが、相撲は取れているから大丈夫」と気丈に話した。

 連敗を3でストップさせ、4勝4敗の五分に戻した。泣いても笑ってもあと7日間。「かど番のことは考えずにしっかり相撲を取ることだけ」。なんども引退の危機を乗り越え、現役にこだわってきた魁皇。9日目から大関戦が始まり、把瑠都が立ちふさがる。果たして4勝して、大関で地元九州に戻ることができるのか。悲壮な覚悟で土俵に上がる。 (近藤昭和)

 

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