ヒーローに選ばれた(左から)中継ぎで2イニング無失点の久保田、4勝目を挙げた秋山、逆転2ランの林=甲子園球場で(布藤哲矢撮影)
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◇阪神4−2巨人
林が4回に放った鮮やかな逆転アーチを目にし、秋山の気持ちは吹っ切れた。「しっかり腕を振ろうと。それで抑えられた」。立ち上がりから真っすぐは抜け、アクセントとなるカーブは浮いた。だが、チームが主導権を奪い返すと、見事に立ち直った。
2死から連打を浴び、一、二塁のピンチを背負った5回がそう。打者は阿部。苦しい状況だったが、思い切り右腕を振った。142キロの速球は城島の構えた外ではなく、内へと入った。やられてもおかしくない。だが、闘志が勝ったのか、阿部は打ち損じ、左飛に倒れた。
6回はさらに勢いづき、初めての3者凡退。その裏に打席が回ってきたため交代したが、6イニングを7安打2失点。8月21日のデビュー戦で6イニング4失点で初黒星を喫し、涙した巨人からのリベンジ星を手にした。お立ち台では、「勝てて良かったというのが、一番強い気持ちです」と素直に喜んだ。
真弓監督も「今日が一番悪かったんじゃないか。でも悪いときにもしっかり粘って投球してくれる」と、破竹の4連勝を飾った19歳の新星にただただ賛辞を贈った。確かに高卒ルーキーの大舞台での粘投は、言葉にできないほど価値があった。
巨人とのサバイバルマッチを制し、チームは5カードぶりに勝ち越した。これで1勝8敗と苦手にしている敵地での中日戦にいい形で臨める。真弓監督は「名古屋では勝つしかないでしょう」と言った。秋山がつないだ希望。その希望を現実にするためには、21日からの運命の3連戦を制するしかない。
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