◇ソフトバンク5−4西武
負傷もあって石井一をKOし、1点差に迫ってなお無死満塁の6回。2死となり、秋山監督が動いた。田上に代えてこの3連戦ベンチスタートのオーティズ。勝負は一振りだった。
打球が二遊間を割った。初球。逆転の2点打にオーティズは「必ず出番は来ると準備していた」と胸を張った。
8月4日に右ひざ半月板を損傷。復帰のため早々と手術回避を決めた。約1カ月の2軍調整。打棒を鈍らせまいと懸命だった。西武に3連勝した7月19〜21日「鷹の祭典」の再現をと、球団が赤の応援グッズ持参を呼び掛けた3連戦。マリーアン夫人に伝え息子3人と、娘に赤ユニホームを着せ観戦させた。自身も赤のTシャツで球場入り。「家族が帰る前のホーム戦で打てて良かった」。24日に米国に戻る家族に健在を示し「1年中、ホームユニホームは赤にしたらどうだい」と笑った。
信念を貫いた秋山監督の逆転勝利でもあった。故障明けのホールトンが初回に2被弾3失点。立ち直る兆しもあったが、3回から甲藤に代えた。前日も3回途中で大隣を見切ったが、迷いはない。救援陣がネックで後手に回る西武と、戦い方は好対照だった。
「疲れた。しびれたな…。3試合とも、ずっと」。本音だった。ここ1週間、のどの痛みなど風邪に似た症状があった。「今はやっている気管支ぜんそくというやつかな」。隠して闘志を押し出した。すべて逆転の3連勝で0・5ゲーム差。奇跡の果てが見えてきた。 (森淳)
この記事を印刷する