地方発表合計 国家統計22兆円上回る 中国GDP 水増し濃厚

2010.8.6 05:00

 中国の国内総生産(GDP)統計の中央と地方の数値のズレをめぐる問題で、今年上期(1~6月)の地域ごとのGDPを5日までに公表した29の直轄市、省、自治区のうち、実に28の地方がGDP成長率で全国成長率11.1%を上回っていたことが分かった。中国の金融当局者は、GDP規模で今年上期に日本を抜いて「世界2位の経済大国になった」との認識を示しているが、地方政府が業績誇示のため統計を水増しした疑惑に加え、国家統計局による全国統計の信頼性にも疑問符がついている。

 中国夕刊紙、法制晩報などの集計によると、上期GDP未発表の上海市と貴州省を除く29の地方政府の中で、最も成長率が高かった海南省の19.4%を筆頭に、28の地方までが全国の成長率を上回った。下回ったのは新疆ウイグル自治区の10.7%だけだった。

 国家統計局が先月15日に全国のGDP統計を発表した前後から、地方政府もさみだれ式に地域統計を発表している。ここ数年、多くの地方で成長率が国全体の数字を上回る状態が続いている。最近も司法省と監察省が地方政府の検査に乗り出していたが、「中央と地方の発表の整合性に疑問が残る」(ジェトロ中国北アジア課)との点は今回も解消されなかった。

 さらに、29の地方の上期のGDP規模を合算すると19兆元(約241兆円)近くにのぼり、万博景気に沸く上海市を含まない段階でも、すでに全国の17兆2840億元を大きく上回るという矛盾を抱えている。ドルベースの名目GDPによる経済規模では、中国人民銀行(中央銀行)副総裁で中国国家外貨管理局長も兼務する易綱氏が先月末に、「中国は事実上、すでに世界第2位の経済体になった」と発言していた。(上海 河崎真澄)

注目サイト