厚生労働省の村木厚子元局長(54)に無罪判決が出た郵便料金不正事件で21日、大阪地検特捜部の主任検事(43)による証拠品改ざん疑惑が明らかになった。元局長の関与立証のため、描いた構図通りにつじつまを合わせようとしたとすれば、政治家や官僚、企業の不正を暴く検察捜査への信頼は根幹から瓦解する。最高検が身内の検事を直接捜査する前代未聞の事態に、無罪確定を控えた元局長は「徹底的に捜査して真相解明を」と訴えた。
「こんなことが起こりうるのかと、非常に恐ろしい気持ちがした」。村木元局長は21日正午から東京・霞が関で記者会見。上下白色のスーツ姿で両手を体の前で組み、時折、視線を落としながら、ゆっくりと丁寧な口調で語った。
主任検事が改ざんした疑いのあるフロッピーディスク(FD)は、大阪地検特捜部が今年5月、捜査段階で部下だった元厚労省係長、上村勉被告(41)=公判中=の自宅から押収。自称障害者団体「凜(りん)の会」が郵便料金割引制度の適用を受けるために発行を依頼した偽証明書のデータが保存されていた。
しかし、元局長によると、FD内に入っていた証明書の文書データについて、特捜部は捜査段階の調べでは言及せず、供述調書にも反映されなかったという。
検察側の主張とFDの矛盾に気付いたのは、昨年秋から始まった公判前整理手続きの時期だった。当初、元局長はデータは残っていないと考えていたが、大阪拘置所で開示された証拠を見てFDの存在に気づいた。「当初、検事は見落としたのかとも思った。データがあったという驚きと、大事な証拠なのに使われずショックだった。でも改ざんとかまでは、想像できなかった」
FDは公判に提出されなかったが「(もし証拠採用されていたら)無罪の大きな足掛かりを得られなかった。怖いことだと思う」。元局長はこう話し、「検察に対する信頼がかかっている。事件全体について何があったのか。徹底的に捜査し(検事)個人の問題に矮小(わいしょう)化してほしくない」と訴えた。
村木元局長の弁護人、弘中惇一郎弁護士も同日午前に記者会見し、検事を証拠隠滅などの疑いで刑事告発することを検討すると明らかにした。
弘中弁護士は「(改ざんがあったとされる)FDは一番重要な証拠」なのに、「検察側がなぜ証拠申請しないのか引っかかっていた」といい、「検事はこの事件が冤罪(えんざい)だとかなり前から分かっていたのではないか」と批判した。
大阪地検は村木元局長の無罪判決について、既に控訴しない方針を固めているが、同弁護士は「(証拠改ざんは)検察の根幹を揺るがす大変な事件。徹底的に調査し、しかるべき処置をとってほしい」と求めた。
厚生労働省、改ざん、検事、特捜部
日経平均(円) | 9,602.11 | -23.98 | 21日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 10,745.67 | -7.95 | 21日 10:45 |
英FTSE100 | 5,605.75 | +3.21 | 21日 15:45 |
ドル/円 | 85.33 - .36 | -0.48円高 | 21日 23:40 |
ユーロ/円 | 112.08 - .12 | -0.74円高 | 21日 23:39 |
長期金利(%) | 1.045 | -0.025 | 21日 15:04 |
NY原油(ドル) | 74.86 | +1.20 | 20日 終値 |
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載 詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)