厚生労働省の村木元局長が無罪判決を受けた郵便の割引制度をめぐる事件で、捜査を担当した大阪地検特捜部の主任検事が押収したフロッピーディスクのデータを改ざんした疑いが強まったとして、最高検察庁は、この検事を証拠隠滅の疑いで逮捕しました。
逮捕されたのは、大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者(43)です。最高検は、大阪・枚方市内の前田検事の自宅の捜索を行っています。最高検の調べによりますと、前田検事は、郵便の割引制度をめぐり、うその証明書が発行された事件で、押収したフロッピーディスクのデータを改ざんしたとして、証拠隠滅の疑いが持たれています。問題のフロッピーディスクは、この事件で無罪判決を受けた厚生労働省の村木厚子元局長(54)の元部下で、係長だった上村勉被告(41)の自宅から押収されたもので、上村元係長が作成したとされる、うその証明書のデータが保存されていました。ところが、データの最終的な更新日時が、去年5月に押収された時点では2004年の6月1日だったのに、1か月半後の去年7月になって6月8日に書き換えられていました。このフロッピーディスクは、裁判の証拠としては提出されませんでしたが、データの更新日時が6月8日だった場合には、村木元局長がうその証明書の作成を指示したという検察が描いた事件の構図に矛盾がないことになり、最高検は前田検事が事件の構図に合うようにデータを書き換えた疑いがあるとしています。20日の事情聴取に対して前田検事は「わざとではなく、誤ってデータを書き換えてしまった」と説明していたということです。最高検察庁は、21日午後8時40分、大阪地検の庁舎内で前田検事を証拠隠滅の容疑で逮捕し、今後、データを書き換えたいきさつを詳しく調べることにしています。さらに最高検は、無罪判決を受けた村木元局長の裁判について控訴しないことを正式に決め、村木元局長の無罪が確定しました。最高検は今後、データ改ざんの問題と合わせて捜査全体の検証を進めていくとしています。