本澤 純一
世界に広げる、協業パートナーの輪
グローバル協業推進グループ 1995年度入社
三菱重工の企業戦略には欠かせない、新興国とのビジネス。そんな中、ただ製品を売るだけではなく、製品技術そのものの移転や指導などを通じ、海外の国々で三菱重工の技術で製品を製造する協業パートナーを構築していこうとする私たちの仕事は、意欲的で新しい取り組みだといえます。
生まれたばかりの部署、グローバル協業推進グループ
私はグローバル協業推進グループという部署で、協業案件全般の営業・企画業務に携わっています。このグループは三菱重工のさらなるグローバル化に対応するべく、2007年4月に発足したばかりの、全く新しい組織です。私たちには、大きく分けて3つの役割が与えられています。
私たちに与えられた、3つの使命
東方電気集団にて、四川大地震義捐金授与 |
まず第一は、技術移転を通じて、協業パートナーが三菱重工の技術でビジネスを進めていけるようにサポートを行うことです。ただ製品を売るだけではなく、技術という知的財産からも事業展開しようとする、三菱重工にとって比較的新しいビジネススタイルだといえます。また、サポートには技術指導もさることながら、部品の供給など多方面に渡る支援が含まれます。
続いて第二には、主に中国や韓国の協業パートナーに、ガスタービンや蒸気タービンといった製品の製造をお願いすることにより、三菱重工の生産能力拡大に寄与していくことです。三菱重工の生産能力の急速な拡大と市場需要へのフレキシブルな対応の面でメリットがあり、世界市場において三菱重工のビジネスをさらに有利に進めるためにも、欠かせない役割のひとつです。
さらに一歩進んだ第三の役割として、中国やインドといった有力な市場における、現地合弁会社(Joint Venture)の設立にも携わっています。これは協業パートナーに対し、三菱重工の持つノウハウを一方的に提供するだけではなく、現地の事情に明るい協業パートナーからも様々なノウハウを提供してもらいながら、双方にとって有利にビジネスを進めていくという新しいスタイルです。
「小さな」高砂製作所の「大きな」仕事
杭州タービンと漣源鋼鉄のお客様来所記念 |
このように、新しいビジネススキームを推進する私たちのグループは、主に事務系社員が所属する「企画管理ユニット」と、技術系社員が所属する「技術移転ユニット」により構成されています。製造、品質保証、設計、営業、企画、資材など、高砂製作所内の様々な部署から集まったスタッフにより構成された組織ですから、私たちはいわば「小さな高砂製作所」の役割を果たしつつ、事業所の代表、そして三菱重工の代表として、世界を相手に奮闘しているといっても過言ではないでしょう。
また、事務系・技術系スタッフとも、専門性にとらわれない広い知識と経験を積んだ人材が集まっていることも、私たちグループの大きな特徴です。例えば私自身は営業の出身ですが、「アドミ」と呼ばれる職務についた経験が、発電プロジェクトの流れに精通しておく必要がある今の仕事に、大いに役立っていると感じることがあります。
※アドミ…発電所の現地建設事務所において、営業、資材、経理、人事などを一手に担当する、アドミニストレーション・マネージャー(Administration Manager)の略称
3年弱の間、アルゼンチンのコスタネラ発電所にアドミとして赴任しましたが、既設プラント撤去後の更地に発電所の建物が建設され、次々に機器が据え付けられていく様子を目の当たりにすることで、発電プラントそのものへの知識を、より深めることができました。また、日本とは異なる事情の南米で、コミュニケーションへの苦労や、日本では考えられないようなトラブルの解決に奔走した経験も、大きな収穫だったといえます。
グループ内における協業案件の業務は、高砂製作所内外の調整役に回ることが多い立場です。そのため、プラント建設そのものを一から十までこの目で確かめて、深く理解することができたこの経験は、大いに私の助けとなってくれています。
新しい仕事に取り組む、私たちにご注目あれ!
新しい部署、そして新しい仕事。そんな私たちには、過去の実績や事例がありません。まさに一から、ノウハウを築き上げていく必要があります。グループとしての業務フローを構築するために、まずは各種のルール作りに取り組むところから、私たちの仕事は始まりました。このように、新しいビジネスを築き上げていく面白さを感じる反面、ひとつひとつ、壁にぶち当たるたびに突破口を模索する苦労もあります。
壁といえばまた、海外の協業パートナーとの間で言葉や文化、考え方などについて、高い壁を感じることも事実です。特に中国では、言葉の面では通訳に頼る場面も多く、時には日本語特有のあいまいな表現が誤訳につながることもあり、コミュニケーションには細心の注意を払うとともに、時間と忍耐が必要です。
そういった困難を乗り越えながら、協業パートナーとの間にwin-winの関係を築き、できるだけ多くの協業案件を受注していくことが、私の目標であり、私たちグループに課せられた使命です。今までになかった新しい仕事に取り組む「高砂の人」、グローバル協業推進グループに、ぜひご注目を!